掘削作業始まる/天然ガス試掘調査
相当量の埋蔵に期待/市長「振興の起爆剤に」
県が宮古島市で実施している天然ガス試掘調査に伴う掘削作業が31日、城辺保良の「城辺ぱり鉱山宮古R-1号井」で始まった。開坑式が掘削現場であり、国や県、宮古島市のほか関係団体の代表が参加し、掘削作業の開始を祝った。宮古島では過去の調査で「相当量」の天然ガスの埋蔵が推定されており、多面的な活用が期待されている。下地敏彦市長は「経済の起爆剤にして宮古島の活性化を図りたい」と意欲を示した。
今回の試掘調査は、未利用資源・エネルギー活用促進事業として宮古島市のほか、南城市と那覇市の3カ所で実施される。事業費は計9億9500万円。
宮古島では深さ2500㍍まで掘削し、埋蔵量やガスの成分を詳しく調べ、天然ガスを活用した事業の展開に役立てていく。
神事の後、開坑式が行われた。県商工労働部の下地明和産業振興統括監、沖縄総合事務局経済産業部の能登靖部長、綜合開発の根本新太郎社長、下地市長、宮古島商工会議所の下地義治会頭が機械のボタンを押して掘削の開始を告げた。
下地市長は「天然ガスが出ることで、電力を天然ガスに置き換えるという可能性が広がる。付随して出る温泉水は健康ランドとして活用できる。産業振興や雇用確保といった点でも期待できる」と強調。「島の活性化に向けての第一歩。市民と話し合いながら進めていきたい」と述べた。
直会は保良農村総合管理センターで行われ、関係者が祝杯を挙げた。
県商工労働部の下地産業振興統括監は「この調査でより良い結果が出て、今後の活用に向けて弾みがつくことを願っている。観光モデル都市・宮古島市の産業振興につながるよう連携していきたい」と話した。
総合事務局経済産業部の能登部長は天然ガスの限りない可能性を指摘。「オランダでは、天然ガスを農業に活用するなど多面的な利用が展開されている」などとし「大きな意味を持つ試掘調査になる」と述べ、宮古島市における天然ガスの活用事業に期待を込めた。
掘削作業は来年1月中旬までを予定。同月下旬にかけて温泉水やガスの生産試験が行われる。