全国と肩を並べる/今年7月競り 子牛価格
20年の改良努力結実/キロ単価は全国3位
宮古家畜市場で今年7月に取引された子牛の1頭平均価格48万7868円は、全国平均の48万3545円を4323円上回ったことが一部マスコミの報道で分かった。宮古畜産技術員会が1992年に本土との価格差縮小を目指し、改良方向を決めてから約20年。この間農家、関係者一体の取り組みで改良を急ピッチで進め、当時10万円以上もあった価格差を無くし全国と肩を並べた。
7月はキロ単価も全国比203円高の1899円で、全国3位だった。
子牛価格が安かった20年前、当時畜産技術員会長だった川上政彦宮古食肉センター専務は、価格差の原因調査のため、全国の購買者を訪ねた。その結果、宮古の競りでは実績のない種牛の産子が多くを占め、評価を下げていたことが判明。技術員会はこれを受け、交配は家畜改良事業団と県の種牛に絞り込む方針を打ち出した。
改良の方向は学区や部落単位で懇談会を開き、周知した。
事業団のスーパー種牛「北国7の8」の精液は、宮古が他地域に先駆けて導入。名牛「安茂勝」や「安福165の9」の精液も多く取り入れた。
平良富名腰の与座武雄さんが生産した名牛「北福波」は、父が「北国7の8」で母の父は「安福165の9」。改良方向に沿った計画交配の推進が、北福波(県の種牛)誕生に結び付くことになった。
7月の競りで取引された379頭のうち、北福波の産子は42頭で全体の11%を占めた。取引頭数は事業団の種牛「安茂勝」の45頭や同「菊花国」31頭、県の「勝群星」の34頭なども上位。現在の交配は方針の通り北福波など、県や事業団の種牛に絞り込まれ「宮古の牛は質量兼備の優良牛」と高い評価を受けるようになった。
川上専務は「全国に追い付いたのは、農家が改良方針を受け入れて実践した成果。改良に終わりはないので、今後もより優れた牛の生産を目指してほしい」と一層の努力に期待した。
7月の全国の競りで子牛1頭価格が最も高かった市場は、鹿児島の薩摩で55万100円。キロ単価は岐阜・飛騨の2017円が1位だった。