1人暮らし高齢者を調査/明治学院大・沖国大
学生28人が聞き取りを実施
明治学院大学社会学部の河合克義教授の下で社会福祉学を学ぶ学生と、沖縄国際大学総合文化学部で人間福祉学を学ぶ岩田直子教授の大学院生、学部生ら28人が宮古島市の1人暮らし高齢者の生活実態を調査するため来島し4日、お年寄りの家を直接訪問して聞き取り調査を行った。
河合教授によると、現在、宮古島市内には半径300㍍以内に近親者が居住していない1人暮らし高齢者が941人いる。このうち、居住環境の異なる20人を抽出し、学生らが詳細な生活実態を調べるため、直接、お年寄り宅を訪れて聞き取りを行った。
県内市町村の中でも宮古島市は、沖縄本島周辺離島の町村部などに次いで高齢化率が高く、県内11市部の中ではトップ。高齢社会を迎えた場合、1人暮らし高齢者世帯数が極めて多くなる可能性があり、現在の課題を詳しく調査し、改善策を講じる必要がある。
今回の調査で伊良部地区と下地地区の高齢者を調査した明治学院大の早川由花さん(2年)は「見守る人が少ないのが懸念されること。隣近所など、人とのつながりが強い地域であることは分かったが、普段の声掛けは地域の駐在署員が行っていることを知った」と話した。
また、同大の水元佑季さん(同)は「社会的弱者に位置付けられる高齢者の家に、勝手に知らない人が出入りしているという例もあった。しっかりした防犯対策などが課題になると思う」と述べた。
沖国大大学院で人間福祉を専攻する金城伊千郎さん(修士2年)は「対象者が好意的に調査に応じてくれた。地縁によるつながりは強いが、苧麻績みなどで生活を支えている高齢者もいる」と述べ、福祉施策をさらに充実させることの必要性などを話した。学生たちが行った調査は今後、1人暮らし高齢者生活改善の市政策立案の基礎資料として活用されるため、今年度中に研究レポートにまとめられ、調査報告書として発表される予定だ。