福東、川満でフェロモン防除/キビの害虫イネヨトウ
生息密度低減実証へ/県農研センター宮古島支所
試験圃場80㌶設置
県農業研究センター宮古島支所は、サトウキビの茎を食い荒らすイネヨトウやカンシャシンクイハマキなどメイチュウ類の生息密度低減を目的にフェロモンを使った防除試験を2日、城辺福東と下地川満の畑で開始した。同試験は昨年(平良福山、城辺比嘉)に続いて2年目。今年の試験圃場面積は80㌶(福東40㌶、川満40㌶)と、昨年の40㌶(福山20㌶、比嘉20㌶)と比べ倍増した。
試験圃場設置作業には農家や県、市、製糖工場、JAの職員ら約100人(福東50人、川満50人)が参加。フェロモンを染みこませたロープ状のチューブを40~50㌢の高さで差し込んだ竹に縛り付けた。
沖縄本島の試験ではチューブを畝に沿って張り、フェロモンを発散させていた。宮古では畑を取り巻くようにチューブを設置し、手間を省いても効果に遜色がないかも実証する。
フェロモンは、雄を惹きつけて交尾をかく乱する物質。かく乱効果はフェロモントラップで捕獲した雌の数や、糸で繋ぎ止めた雌の交尾率、キビの芯枯率などで確認する。
昨年の試験では、試験区外から飛び込んだ雌が産卵したとみられるデータが判明。面積倍増は、そうした外的影響を排除できる場所(中央部の20㌶)を確保し、正確なデータを得るために行った。
県内におけるイネヨトウの最初の異常発生は、2007年に与那国町で確認された。11年は伊是名村で被害が大発生。キビの反収は平年の半分以下の2・7㌧に減り、深刻な被害がクローズアップされた。
地域ごとの発生の度合いは、フェロモントラップで1日に捕獲する成虫の数で判断する。県病害虫防除技術センターによると、宮古島では2匹を超える日が多く「多発」の状態にある。 イネヨトウの幼虫は成長点や節を好んで食べるため、芯枯れや強い風が吹くと折れるなどの被害を起こす。食害痕から赤腐菌が侵入し、糖度を低下させる2次被害もある。
普段の防除については、イネ科が寄主植物になることから、イネ科雑草の除去徹底もかなり有効になると強調する。