障害者の就労支援学ぶ/みやこ福祉会
野中さん(和歌山県の一麦会)ら講話
「障害のある人も共に暮らす地域づくり」と題して知的障害者の就労創出事業に先進的に取り組んでいる和歌山県の社会福祉法人一麦会(麦の郷)の理事長らを招き20日、みやこ学園(みやこ福祉会)で講演会が開かれた。那覇市の特定NPO法人エスペーロが主催した。講演会にはみやこ学園の職員のほか、あけぼの学園、ふれあいの里など市内の福祉施設や宮古福祉保健所の関係者ら約50人が参加し、知的・精神障害を持つ人たちの職業創出方法や就労支援の方法について学んだ。
一麦会の田中秀樹理事長の概要説明と同会の理念紹介などに続き、同会の野中康寛事務局次長が麦の里の発足経緯や沿革について説明した。同会の運営する「麦の郷」は1977年に6畳一間の長屋の一室からスタートし、行政、民間団体の協働で事業を拡大していった。
発足当初、同会では和歌山県では初の食品製造(パン製造)に取り組む共同作業所を運営。88年にはクリーニングと印刷業に事業を広げ、障害者が積極参加できる就労創出事業を次々と展開していった。
その特徴としては障害種別を越えた取り組みによって、福祉の谷間や対象とされていなかった人たちにも支援の仕組みを作っていったことや、年代を超えて子どもから高齢者までを支援する体制づくりを進めていったことにある。
講演で野中さんは「障害を持つ人が誇りを持って取り組んでいける仕事を作り出すことと、半分の障害者が、その半分の障害者を支えるという相互支援の仕組みづくりを念頭に事業を進めてきた。そのため、数多くの仕事を作り出すことに成功した」と説明し、これまで施設内で12組のカップルが誕生し結婚に至ったエピソードなどを話した。
このほか講演では同会の森橋美穂さん、山本真与さんら2人の社会福祉士が、ひきこもり者社会参画支援などについて講話した。