大神の遠見台 国指定史跡に/文化審議会
追加指定で答申/琉球王府時代、異国船監視
国の文化審議会は15日午後、琉球王府時代に宮古近海に外国船が現れた際にのろしを上げて監視・通報していた大神島遠見台を、2007年3月に国指定の史跡となった総称「先島諸島火番盛」に追加指定するよう、文部科学大臣に答申した。3~4カ月以内に国の官報に告示され、宮古では先に指定された池間島遠見台など5件に次いで6件目の国指定史跡になる見通し。
県教育庁文化財課によると、火番盛は、17世紀の「烽火の制」に基づいて設置され、島しょからなる琉球諸島における異国船の警戒監視や情報伝達、通信のあり方を具体的に示すものと評価。
大神島は、ピラミッドのような地形。遠見台は島の中央山頂の標高74・7㍍の地点にあり、そこにはトゥンバラと称する自然の巨石(底辺5㍍×3㍍、高さ約3・5㍍)が残され、住民の信仰対象となっている。
首里王府が19世紀に通達した「富川親方宮古島諸村公事帳」では「大神村遠目所」と記載。遠目所では発見した船が走り出した時には崎浜で立火し、池間島と宮古本島北部の狩俣村の遠見台に通報することが定められていた。
県教育委員会の諸見里明教育長は「追加指定する答申がされたことを大変うれしく思う。今後は宮古島市が大神島遠見台の適切な保存と管理のために保存管理計画を策定し、整備・活用などを図っていくことが期待される」と述べた。その上で「今後とも宮古島市の文化財保護行政を支援したい」と決意を新たにした。
大神自治会の久貝初男会長は「遠見台は神聖な場所で、住民の宝。これまで以上に清掃活動を展開し、快適な環境美化を図りたい」と話した。
火番盛(ひばんむい) 「烽火台(ほうかだい)・遠見台]の意味。琉球の史料では「火番所(ひばんどころ)」・「遠見番所(とおみばんしょ)」、薩摩の史料では「火立所(ひたてどころ)」・「遠見番所」と記録されている。