キビをTPPから死守へ/県きび対策本部
今年の運動方針説明/関税撤廃なら脱退運動展開
県さとうきび対策本部と県農協中央会は18日、2013年度のさとうきび運動宮古地区説明会を開き、TPP(環太平洋連携協定)交渉でキビや肉用牛・豚、米などが守れないと判断した場合は交渉脱退を即刻求めるとする運動方針を示した。TPP交渉は12月の第1週と第2週に首脳会合が行われ、大枠が煮詰まる見通し。内容次第では、TPP参加に反対する県民大会の開催を視野に入れていることも明らかにした。
あいさつでJAおきなわの池間等志経営管理委員は「農家の関心は、価格よりもTPPに向いていると思う。キビは宮古の宝であり、一致団結して守らなければならない」と訴えた。
キビ価格・政策確立に関する要請案はTPP参加で関税の例外(聖域)扱いが認められないと、キビや畜産業は壊滅的な影響を受けると指摘。離島の人口が減り定住社会の存続が危ぶまれるとの懸念も示した。
質疑応答で参加者の一人は「キビの関税が撤廃された場合、無人化する離島も出てくる」と危機感を募らせ、運動では特にTPP対策に力を入れるよう求めた。
別の参加者は「5年先、10年先が読めない中では、規模拡大もできない」とし、今後の見通しの説明を要望。中央会の嵩原義信農政部長は「情報が入手できず、交渉の内容は不透明」としながらも「キビが危ないとの情報は入ってきていない」と述べ、米の次にキビが優先される可能性を示唆した。
要請項目には、サトウキビの自然環境保全や景観保持機能などに着目した「直接支払い制度」創設も組み込んだ。
関税撤廃の県内農水産業への影響額は、砂糖は輸入品と品質格差がなくすべて置き換わるため、キビ(原料)の影響額は197億円(全生産額)を試算。肉用牛は品質の高いものは残るものの、75%が輸入肉と置き換わるとし影響額は106億円を算出。県内農林水産業と関連産業を含めた影響額は1420億円に上るとした。