金井喜久子さんの足跡たどる/市総合博物館
宮古出身の偉大な作曲家
特別展開催 「偉業に触れて」
宮古島出身で日本人女性初の交響曲作曲家金井喜久子さん(1906~1986年)の足跡をたどる特別展が11日、市総合博物館(下里典子館長)で始まった。来年1月12日まで。71年には沖縄のわらべうた「じんじん」が日本レコード大賞童謡賞を受賞。沖縄の旋律を国内外に発信した金井さんの心の根底には強い郷土愛が息づいていた。
写真資料23点、実物資料39点の計62点を展示した。金井さんの息子弘志さんは家宝として所蔵しているレコード大賞や沖縄タイムス文化賞(67年)の賞状や盾などを持ち寄った。展示室にはなじみの曲「じんじん」や自身初の交響曲「琉球の思い出」などのメロディーが流れる。
下里館長は「金井さんは宮古出身の偉大な作曲家。一人でも多くの皆さんに来館いただき、金井さんの偉業に触れてほしい」と呼び掛けた。
宮古島での金井さん関連イベントは06年の「生誕百周年記念演奏会」に次いで、第2弾となった。
金井さんは1919年県立第一高等女学校に入学。音楽室のピアノで沖縄民謡を弾いていたとき、先生に「そんな下品な曲を弾くな」と注意され、これが音楽の道に進むきっかけとなった。「なぜ沖縄民謡は恥ずべきものなのか」。金井さんは強いショックを受けたという。
「琉球の思い出」を最初にオペラ「沖縄物語」や室内楽曲、歌曲、舞踊曲など多彩に手掛けた。
作品発表会は戦争真っ最中の44年、日比谷公会堂で行われた。その時のプログラムには「一億総決起 撃ちてし止まむ」と書いた。
展示会場では56年に米国の「MGM」が製作したマーロン・ブランド主演の映画「八月十五夜の茶屋」のポスターが目を引く。沖縄占領軍の民主主義政策を愉快に皮肉った作品。金井さんは同映画の沖縄音楽を担当した。