「軍事利用許さない」/市民団体など怒りのこぶし
米掃海艦平良港入港
米海軍の掃海艦「ディフェンダー」が21日午後、平良港に入港した。同港には市民団体や労組ら約50人が集まり「強行入港反対」「宮古島の軍事利用許さないぞ」との怒りの声を張り上げた。市や県が民間港湾の使用自粛を求めた中での入港。「日米親善や友好が目的」としているが、入港に反対する市民らは「軍事化を進めるための宣撫活動だ」と強い危機感を示した。
防備という艦名を持つ「ディフェンダー」は、機雷除去を主な任務としている。
平良港には、午後零時分すぎにタグボートにえい航されてゆっくりと入港した。
灰色の船体が姿を現すと、集まった市民団体らから怒りや抗議の声が沸き起こった。「NO NAVY」「宣撫活動反対」「怒」などと書かれたプラカードや横断幕を掲げ、「軍事利用させないぞ」「宮古島から出ていけ」などとシュプレヒコールを上げた。
連合沖縄宮古地域協議会の根間修議長は「市民の感情を逆撫でする行為は許せない。南西諸島への自衛隊配備増強が計画されている中、米艦の入港は不気味に感じる。友好親善の名を借りた軍事活動としか思えない」と憤りを示した。
下地島空港の軍事利用に反対する宮古郡民の会の清水早子さんは「米軍を乗せた米艦が平良港に入港するのはかつてない。友好親善といっているが市民が軍隊と友好親善なんてあり得ない。島の人たちを軍隊に慣らすための宣撫活動としか思えない」と話した。
みやこ九条の会の三浦春彦さんは「何で突然、掃海艦が来るのか。友好親善は誰も望んでいない。怒りの気持ちでいっぱいだ」と語った。
下地敏彦市長は「友好親善という目的で入港したのだから、市民とトラブルが発生しないよう友好親善に努力してほしい」と述べた上で、「戦争の記憶を持っている人たちのことを考えると残念。しかし、地位協定の在り方や中国の動きを見た場合、国全体で国防のことを考える機会になったかも知れない」と話した。
仲井真弘多知事は「民間船舶の円滑な定期運航および安全性を確保するため今後、緊急時以外は民間港湾を使用しないよう自粛を求める」とのコメントを発表した。
一方、ディフェンダーのアンドリア・スロウ艦長(34)は平良港で記者会見し「寄港中、私たちはボランティア活動を行うことを楽しみにしている。また、景色を楽しみ地元の名物を味わい、新しい友人をつくりこの美しい島の豊かな歴史と文化を学ぶことを楽しみにしている」と述べた。
友好親善という目的と市民団体の反対の中での入港は矛盾しないかとの記者の質問に対しては「反対される人は言論の自由というのがある。その言論の自由を守ることも私たちの仕事である」と話した。
在沖縄米国総領事館のレイモンド・グリーン総領事は、今回の寄港と、尖閣諸島付近で中国漁船と海上保安庁の巡視船が衝突した事件は直接関係がないとしながらも、「この地域は戦略的にますます重要になる。われわれの存在感を示すのは大事だ」と強調した。
同艦の寄港は24日まで。寄港中、地元の各団体などを招いての「艦長主催夕食会」を開くほか、パイナガマビーチの清掃も予定さている。