基本は「人づくり」/中体連・高体連研修
選手導く教育論語る/駅伝日本一監督の両角速さん
2008年の全国高校駅伝で、長野県の佐久長聖高校を優勝に導き、現在は東海大陸上競技部の長距離駅伝監督を務める両角速さんが13日午後、宮古工業高校で講演を行った。競技力を向上させる上で最も重要なこととして「人づくり」を強調。「人間的な成長なしに競技力の向上はない」と述べ、長距離選手である以前に、一人の人間としてどうあるべきかを問う指導の重要性を語った。
両角さんの講演は、宮古地区中体連と同高体連の13年度実践・研究発表大会の中で行われた。
長野県茅野市出身の両角さんは高校、大学、実業団で選手として活躍した。1995年から指導者として当時駅伝では無名の佐久長聖高校の監督に赴任。それ以来、同校を13回全国大会に導き、優勝1回、準優勝2回を含めて12回入賞させた。08年優勝時の記録は今も日本高校最高記録。
講演で両角さんは、競技力の向上には「選手の素質が必要」と主張。佐久長聖赴任当初は県内にある183の中学校のうち160校を自ら回り、選手を勧誘してきたと振り返った。
さらに県内のマラソン大会に出ながら指導者としての自分をアピール。「佐久長聖にこんな指導者が来たということを積極的にアピールした」と話した。
指導に当たっては①情熱②使命感③洞察力と判断力-の重要性を語った。「情熱的に、自信たっぷりに大きな声で指導する。指導者の悩みや不安は生徒に見抜かれる。それを出してはいけない」と述べた。
洞察力を磨き「先を見ることが大切」とも話し、今のトレーニングがどのような結果につながるのかを選手個々に深く理解させることが指導者として欠かせない資質と指摘した。
「選手に感謝することも基本」と言う。「結果を出すのは選手。その選手に生かされていることを忘れてはならないと思う」と指導者の心構えを語った。
一人の人間として、「生活態度の全般を細かく指導している」と話す。ここでは自分を律する重要性を挙げて、「選手に望む行為は指導者もなすべき行為」などと主張。あいさつに始まり清掃や作業も「指導者が率先してやって見せることが大切」と語った。
最後に両角さんは「監督の仕事は人づくり。グラウンドだけで輝く選手をつくるのではなく、一人の学生として、一人の人間として輝きを放つ人をつくらなければならない」と話し、競技力以前に人づくりを徹底するよう促した。