障害者の参画考える/共生社会条例アピール
県内初の開催 地域づくりフォーラム/県主催
昨年10月に公布され、今年4月1日に施行される「県障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり条例」(共生社会条例)を周知し、障害者の地域社会への参画を考える「地域づくりフォーラム」(県主催)が5日、宮古合同庁舎で開かれた。フォーラムでは元障害者県民会議会長の高嶺豊琉球大教授が「みんなの共生社会条例」と題して基調講演を行い、「共生社会条例を活かしたゆたかな島づくり」をテーマに5人のパネリストによるディスカッションが催された。同フォーラムの開催は県内では宮古が初めて。
同共生社会条例は障害のある人に対する福祉、医療、雇用、教育などの充実とともに、障害のある人に対する障害を理由とする差別などをなくしていくことを目的に制定され、障害者の地域社会への参画を社会全体で支援していくことなどを狙いとしている。
基調講演で高嶺氏は同条例の目的や基本理念などを説明した上で条例の内容について具体的に説明した。条文には同条例に基づく「広域相談専門員」が配置されることや、障害者への差別が明らかとなった場合、県知事による「勧告」が行われることなどが明記されている。また、同条例では「離島等における障害のある人に対する福祉の充実」が明記されている。
基調講演後に催されたパネルディスカッションでは高嶺氏を進行役に、長位鎌二良氏(自立生活センターまんた代表)、下地信輔氏(宮古島商工会議所副会頭)、下地市朗氏(ハウスメイトネットワーク宮古島営業部マネージャー)、宮平寛才氏(海邦銀行宮古支店副長)、里村浩氏(県福祉保健部参事)の5人が、それぞれの立場から同条例について意見提言した。
下地信輔氏は商工会議所として担えることはバリアフリーを目指したまちづくりに関する行政への提言や、情報あっせんなどがあることを挙げ、「条例で明記されたことは、当たり前のこと。障害者が普通に地域社会に溶け込める環境をつくらなければ真の共生社会は実現しない」と述べた。
長位氏は「われわれ障害を持った当事者も関係機関に積極的に意見提示を行うべきだ」と述べた。同ディスカッションでは宮古島での共生社会づくりを進めながら、バリアフリー化による観光振興策などの活発な意見が出された。