西原方言を後世に継承/研究成果をネット掲載
田窪京都大学院教授ら 動画や字幕使い収録
池間島と先祖のルーツが同じで同じ方言を話す西原の方言の調査研究を2006年から続けてきた京都大学大学院の田窪行則教授らのグループが、8年間の研究成果をこのほどインターネットに掲載した。消滅の危機にある方言の保存継承モデルづくりを目的とした研究。発表資料は西原の年寄りが話す方言を動画や方言・日本語字幕などで収録し、「池間(西原)方言の先生」的役割を持たせる学習プログラムの形にした。
田窪教授は「(方言を勉強したい)若者たちに見てほしい。研究は現在、3分の1ぐらいまで来た。今後も見て飽きないように、面白く工夫していきたい」と意欲を見せた。
田窪教授の池間方言研究は06年に池間島を訪れた時に、前口上の後に酒を飲み回す「オトーリ」の光景を見たのがきっかけとなった。
田窪教授や学生たちは、それ以降年に5~8回西原を訪れ「ミャークヅツ」など集落に伝わる各祭祀や年寄りの話す昔話などをビデオに収録。仲間博之元宮古高校長が京都大学で西原方言だけを使って行う講義の様子も収めた。
「ばがなーゆぎゃー なかまてぃどぅ あい(私の名前は仲間といいます)。なかまゆきえが、なかまとぅ ゆぬ なーだらよ(仲間由紀恵の 仲間と同じ名前です)」。京都大学の講義で仲間元校長はそんな気の利く自己紹介をした。
「ミャークヅツ」は開会の字長あいさつや集落内パレードなど一連の行事を詳しく映像に収めた。
学生たちは、西原での調査活動や田窪教授、仲間元校長の講義を通して、池間(西原)方言がめきめきと上達。フランス出身の大学院生ケナン・セリックさんは池間方言を理解し、話せるまでになった。
セリックさんは池間(西原)方言について「独特の考え方やとらえ方がある。共通祖語は日本語と同じだが、別の言語の感じもする」と印象を語った。
田窪教授は、方言辞典の発刊も予定している。
研究発表の検索アドレスは「http://kikigengo.jp」。