ヤシガニ保護 来月から監視活動
監視員4人に委嘱状/保護区は捕獲全面禁止
宮古島市ヤシガニ保護条例に伴い、来月1日から平良の池間と間那津、城辺七又、下地来間の海岸線4カ所で、ヤシガニの捕獲が全面的に禁止される。下地敏彦市長は26日、保護区域で活動する監視員4人に委嘱状を交付。貴重な資源を未来永劫活用していくための保護であることを訴え、条例違反を見逃さない監視活動に期待を込めた。
ヤシガニ保護区域に指定されている4カ所の総面積は159万平方㍍。ヤシガニのサイズや時期に関わらず、この区域では一切捕獲することができない。条例違反者には10万円以下の罰金が科される。
池間の保護区域は約20万平方㍍。伊江端から前里池津までの北海岸線で捕獲が禁じられる。間那津の保護区域は約30万平方㍍で、市海業センター周辺を含む海岸線。城辺七又は東平安名崎入り口付近から友利地区のインギャーに向けての海岸線一帯が対象で、面積は79万平方㍍に及ぶ。来間は南東側の海岸で、来間漁港から長崎浜の面積約30万平方㍍の区域に生息するヤシガニが保護される。
保護区域には、立て看板を設置して範囲を明確化する。4カ所それぞれに配置される監視員が現場を巡視して条例違反がないかどうかを監視する。さらにはヤシガニのモニタリング調査を実施し、生息状況の確認と把握に努める。
市が26日に委嘱した監視員で池間を担当するのは与那覇哲夫さん、間那津は上原正行さんが監視する。七又は斉藤利夫さん、来間は上地秀光さんが担当する。
下地市長は「ヤシガニの数がかなり減っている。私たちは、これをしっかり保護しながら活用していく必要がある」と述べ、ヤシガニが食文化と深く結び付いていることを指摘した。その上で「市民にも広報を通じて保護するよう呼び掛けているが、それだけでは不十分だ」と話し、監視員の活動に期待を込めた。
ヤシガニ(方言名・マクガン)は、乱獲で絶滅の危機にあり、環境省および県の絶滅危惧種Ⅱ種に指定されている。保護条例は12年1月に施行されており、来月1日から指定される保護区域とは別に、市内全域で甲長8㌢未満および同12㌢以上のヤシガニの捕獲が禁じられている。また、ヤシガニの繁殖期に当たる6月1日から8月31日の期間は大きさを問わず捕獲することができない。