イシガメ駆除を開始/宮古島市
希少種サワガニ保護に全力
県の天然記念物ミヤコサワガニを保護するため、宮古島市が外来ヤエヤマイシガメの駆除作業を実施している。NPO法人海の自然史研究所代表理事の藤田喜久さんらの調査で、ヤエヤマイシガメがミヤコサワガニを捕食している実態が判明。駆除しなければ希少種の生態が脅かされると判断して駆除に踏み切った。藤田さんの保護要請に下地敏彦市長は「サワガニを守るためにしっかりやっていきたい」と理解を示した。
ヤエヤマイシガメは、八重山諸島に生息する固有の亜種。本来宮古島に生息していなかったため、県内外来種とされている。
藤田さんらが2013年に実施した調査で、ヤエヤマイシガメを捕獲して胃や腸内を調べたところ、ミヤコサワガニやミヤコヒキガエルといった希少種を捕食している実態が分かった。
これを受けて藤田さんは今年1月、神戸市立須磨海浜水族園の笹井隆秀さんとともに試験的にヤエヤマイシガメの駆除を実施。この結果、わずか2晩で54匹を捕獲したという。
想定を上回る捕獲数を重要視して市が駆除する方針を決定。環境衛生課、生涯学習振興課、総合博物館の共同による駆除作業が3月から実施されている。
わなを仕掛けて捕獲する駆除は計3カ所で行っており、1週間ごとに見回りをして個体を回収する。
藤田さんは26日、市役所平良庁舎に下地市長を訪ねてヤエヤマイシガメの駆除に伴うミヤコサワガニの保護を要請。「駆除しなければサワガニ絶滅の可能性が出てくる。取り返しのつかないことになる前に駆除をお願いしたい」と述べた。
下地市長は要請に理解を示し「大いにやっていきたいと思う」と述べ、希少種ミヤコサワガニの保護に努める考えを示した。