「コーラル社継続すべき」/3セク検討委が報告
公的資金の投入も視野
市の第3セクターである「コーラルベジタブル社」(社長・下地敏彦市長)の運営のあり方について、昨年12月24日に外部の専門家(中小企業診断士、公認会計士、税理士、金融機関関係者)で組織した市第3セクター等検討委員会(西里喜明委員長)は7日、同社の経営評価報告書を取りまとめ、下地敏彦市長と長濱政治副市長に報告した。西里委員長は同報告書に基づき、「設立当初の農業の振興と農家所得の向上という公益性重視の大儀を果たすべく、公的資金投入も視野に継続を図るべき」と述べ、委員会での審議経過と経営改善のための優先策などを提起した。
同報告では、同社は「市からの補助金頼りの経営に陥り、倒産状態で企業の廃止が避けられない状況になっている」という現状を厳しく指摘した上で、現経営陣が経営不振の原因を、これまでの「経営体質の甘さ」にあり、社会や市場の要求と会社の取り組みに乖離があったことの反省から「5カ年経営計画」を策定した経緯などを説明した。
これらの経緯を踏まえ、同委員会では「法人設立当初の理念・目的に向けて再建するならば、市の農業振興のみならず、市における産業振興に与える好影響は多大である」と結論づけ、経営計画期間の目標達成に向けた「コーポレートガバナンス」(企業統治)を重視した市の責任ある支援が必要との見解を示した。
さらに、「公金を第3セクターの経営再建のために支出する以上は、市民に対する説明責任と補助金支出に関するガイドラインを策定した上で実施すべき」との留意点を加えた。
西里委員長は、現在の5カ年経営計画をさらにブラッシュアップし、より具体化、実現化し得る計画を立てる必要のあることから、中小企業庁が行っている「経営革新等認定支援機関」を活用しての制度導入を提案した。
西里委員長によれば、コーラル社の再建を市が断念した場合、今後、宮古においては6次産業化を目指す農業振興全体に悪い影響を及ぼす可能性も出てくる。そのため、期限を決め、あくまでも「農家所得向上」という視点から市が支援し、会社健全策を図る方向が望ましいとの意見が委員会の多数意見だった。
下地市長は「公的資金をを使うのであれば、市民に対してきちんとした説明を行いたい。何ができるかを含めて市の内部でも十分に検討していきたい」と述べ、委員会の労をねぎらった。