平良好児賞に新城氏/「弟または二人三脚」
同人誌「宮古島文学」も/6月7日に授賞式
第18回平良好児賞(宮古毎日新聞社主催、宮古ペンクラブ主管)の選考委員会(松原清吉委員長)記者会見が9日、市内のホテルで開かれた。同賞には新城兵一(たけかず)氏(70)=那覇市=の詩集「弟または二人三脚」(あすら舎)と同人誌の「宮古島文学」(主宰・市原千佳子氏)が選ばれた。同賞の団体受賞は2003年第7回受賞の「サイガ族」以来2度目。授賞式と祝賀会は6月7日にホテル共和で行われる。
今回の同賞には自薦他薦を含めて10作品と1団体がノミネートされ
た。詩集や句集、小説など幅広いジャンルの作品がエントリーした。最終選考では、これまでの宮古における文芸活動の経緯などを含め、同人誌の1団体を加えた。
選考審査講評で委員の友利敏子氏は詩集「弟または二人三脚」について、「人の存在、愛するとはが文学の永遠のテーマの一つ。兄弟愛、無償の愛が加わった作者の詩の世界は深淵にして無限である」と評し、46年間の闘病生活の後、60歳で没した弟と新城氏の関係について触れ、「豊沃の野にまかれた言葉に圧倒され、愛の深さに心揺さぶられる一冊である」と評した。
団体受賞となった「宮古島文学」について、委員の仲宗根將二氏は、戦後から現代までの郷土文芸誌の歴史を解説。その中で、平良好児氏が果たした功績を紹介し、「宮古島文学は、平良氏の『まかれた種』の土壌でありたい、それぞれの花は種の中にある」との同誌6号の編集後記を紹介した上で、「同人各位がしっかりと地域に根差しつつ、普遍性を目指して精進するよう期待したい」との受賞理由を説明した。
受賞の知らせを受けた新城氏は「宮古文学の土壌を耕した平良好児氏を顕彰する賞を受賞できて本当にありがたい。平良氏同様、息の長い文芸活動を続けていきたい」と受賞の喜びと抱負を述べた。
「宮古島文学」を主宰する市原千佳子氏は「平良好児さんがまいた種を同人誌という形で芽吹き、花咲かせたいという思いがあった。受賞はうれしさと同時に重い責任を感じる。一人でも多くの人たちが同人誌に参加できるきっかけになると思う」と述べ、今月末に発刊される同誌は奇しくも平良氏の特集号となっていることなどを話した。
◇◇ことば 平良好児賞 長年宮古の文学界をリードし、「宮古文学に種をまく人」と呼ばれた故平良好児氏の遺志を受け継ぐため、平良氏が亡くなった翌年の1997年に創設。以降、毎年1度、宮古にかかわる各種文芸ジャンルで、優れた文筆活動をした個人や団体を表彰している。宮古毎日新聞の創刊50周年を期に2005年から本社が主催を引き継いだ。