市に残余財産を委譲/下地玄信育英会
歴史ある奨学金給付事業に幕
下地玄信育英会の與座勇吉理事長と池間徳全事務局長は27日、市平良庁舎に下地敏彦市長を訪ね、同育英会が昨年11月30日で解散したことを報告し、育英会の基金である残余財産4091万1544円を市に寄贈した。同育英会は1975(昭和50)年に財団法人として設立。宮古の人材育成事業に大きな貢献を果たした同育英会の長い歴史に幕が下ろされた。基金寄贈式には宮國博教育長、佐平博昭教育委員長らが同席した。
寄贈式で與座理事長は宮古の「育英の父」と呼ばれる下地玄信氏が75年に宮古高校に育英資金3000万円を寄贈したことで財団法人が設立された経緯を説明し、これまでに69人の学生に奨学金を給付してきたことなどを伝えた。
與座理事長は「公益法人制度改革に伴い、従来のままでの財団法人の継続は不可能となり、監督官庁の指導に従って市への寄贈ということになった。同法人の歩んできた経過を受け止め活用されることをお願いする」と述べて下地市長に財産目録を手渡した。
寄贈を受けた下地市長は「育英会から市の子供たちのために使ってもらいたいとのことで多額の寄付を頂いた。下地玄信氏は宮古を代表する偉人であり、宮古の子供たちを心から思ってくれた大恩人だ。それを引き継いだ財団皆さんの志を受け継いで大事に使わせて頂く」と謝意を表した。
市は寄贈のあった同基金について、あらためて「下地玄信育英基金」を市に設置するため、同条例案を9月定例会に上程し青少年の健全育成に役立てるとしている。
下地 玄信(しもじ・げんしん)1894-1984年。平良東仲宗根生まれ。東亜同文院卒業。日本公認会計士協会の設立に加わり、副会長と近畿支部長を長年にわたって務めた。ロンドンで開催された国際会計士会議に日本代表団長として参加するなど、国内外で活躍。戦後は郷里の振興に尽くし「資源の乏しい郷里の発展に人材育成は不可欠である」という信念で多くの学校に図書を贈り「下地玄信文庫」を設けた。75年に基金3000万円で「下地玄信育英会」を設立。同育英会の初代会長は砂川恵敷氏、第2代は名嘉真春景氏、理事会となり與座勇吉理事長が歴任した。