防除の低コスト化実現/デイゴヒメコバチで県
【那覇支社】県農林水産部はこのほど、県花デイゴの生育や開花を妨げる病害虫について、基準使用量の約半分の樹幹注入剤でも従来と同等の殺虫効果を維持できる低コスト化防除技術を確立したと発表した。
これまで1本当たり平均3万円の注入剤のコスト高が課題だったが、新たな防除技術の活用で経費も半分に抑えられ、より広範囲なデイゴの害虫防除が可能になると期待されている。
デイゴヒメコバチは2005年5月に石垣島で発見され、約1年で宮古島や多良間島を含む離島や県内全域のデイゴが壊滅的な被害を受け、開花が見られなくなった。4~5月のデイゴの満開時期にヒメコバチは新芽や若葉に産卵。葉は「虫コブ」という異常な形に変化して、樹勢の衰退や不開花、最終的には枯死を引き起こす。
県は2006年から名護市にある県森林資源研究センターで殺虫効果試験を実施。樹幹注入剤(チアメトキサム)と散布剤(イミダクロプリド)の2種類の薬剤の殺虫効果が高いことが分かった。特に樹幹注入剤は飛散の影響がなく殺虫効果も約1年と長いことから主要な防除薬剤として使用されてきた。
ただ、注入剤はコストが高く、コスト面から防除本数が限られていた。県は低コスト化に向けて11年から13年にかけて竹富島などで試験を行い、通常の半分の薬剤量でも樹冠の着葉量と殺虫効果が維持できるとの結果を得た。防除対策の結果、12年には八重山地域のデイゴが6年ぶりに花を咲かせた。今年は宮古地域をはじめ県内各地で開花が確認されている。
県では今後、林業普及員や市町村、関係機関が連携し、経費や薬量を半分に抑えた低コスト化防除技術を推進して病害虫防除の拡大に努めたいとしている。