「賛成」「反対」激しく火花/武田副大臣来島
自衛隊配備で市民団体/賛否で応酬、異様な光景に
「自衛隊は反対。副大臣は帰れ」「宮古に自衛隊配備を!副大臣歓迎」-。12日午後、武田良太防衛副大臣が訪れた市役所平良庁舎前。自衛隊の配備に賛成する団体と、反対する団体が別々の集会を開いてシュプレヒコールの応酬を繰り広げた。発言内容をめぐっては一触即発の場面も。にらみ合い、感情をむき出しにして言い争うこともあった。市民が行き交う庁舎前は、異様で重苦しい雰囲気に包まれた。
武田副大臣は正午すぎに到着した。自衛隊配備に反対する団体は空港前で声を上げ、賛成する団体は上野野原の航空自衛隊宮古島分屯基地で歓迎した。
賛成、反対それぞれの団体は、武田副大臣と下地敏彦市長が会談する平良庁舎前に移動。武田副大臣の来庁時間に合わせて集会を開き、自衛隊配備に対する姿勢を鮮明にした。
反対集会で、平和運動センター宮古島の小禄雅夫議長は「私たちは平和な宮古島を守っていく。ここに結集したみんなの力で(自衛隊配備など)こういった動きに反対をしていく。その運動を全体で作り上げていきたい」と述べた。
宮古平和運動連絡協議会の砂川洋子共同代表は「宮古島には野原の通信基地があるので標的にされる。さらに装備をもった軍隊が来るなんて恐ろしい。宮古島の子供たちに、軍事の島を残さないよう力を合わせて頑張っていきたい」と話して連帯を呼び掛けた。
一方、賛成する団体は歓迎の意志を示すたくさんののぼりや横断幕を手に庁舎前に立ち並んだ。
「下地島に自衛隊を誘致する住民の会」(伊志嶺朝令会長)の会員の仲間頼信市議は「近隣諸国の動きを見る限り、自衛隊は必要になる」と強調。「自衛隊が入ると戦争になるという声があるが、本当にそうなのだろうか」と疑問視し「基地は日本国民と宮古島市民を守る。宮古島に配備されれば経済が豊かになる。宮古島が平和になる」などと訴えて集まった賛同者から大きな拍手を浴びた。
同じく会員の譜久村広志さんは「一日も早い自衛隊の配備を期待している。われわれの誘致活動が実ってほしい」と述べた。
賛成、反対それぞれの団体はシュプレヒコールを繰り返して自衛隊配備に関する意志を明確に示した。賛否を表す無数の横断幕やのぼりは異様な光景を際立たせ、両者の相容れない感情を浮き彫りにした。