「安全操業の確保求める」/下地市長が中国漁船衝突でコメント
尖閣諸島周辺海域
尖閣諸島周辺海域で中国漁船と海上保安庁の巡視船が衝突した事件で、下地敏彦市長は27日、政府に対し同海域での安全操業および国益の確保に万全に取り組むことを求めるコメントを発表した。一方、同海域で操業する宮古島の漁業関係者は「中国船はまたやってくる。安全に操業することはできるのか」と不安を募らせている。
「尖閣諸島周辺海域での秩序ある漁業操業の確保について」と題したコメントで下地市長は、同海域はカツオやマグロの優良な漁場であることや、宮古、八重山の漁業者もこの海域で操業し生活の糧を得ていると指摘。その上で「わが国の領海および経済水域に外国漁船が堂々と侵入し、違法操業していることは誠に遺憾である」と述べた。
同海域周辺では、伊良部漁協所属の漁船が操業していることにも触れ「漁業者の生活を脅かしているばかりでなく、今後、自国の海域での秩序ある操業ができなくなるのではないかとの強い不安と懸念を抱いている」とし、政府に対し漁業者の安全操業の確保に万全で取り組むよう求めた。
中国漁船の船長が処分保留のまま釈放された直後に、同海域で操業している宮古島の漁業関係者から下地市長に「私たちはこれから安全に操業することができるのか」との電話があったという。「とても危惧(きぐ)していたので市長としてコメントを出した」と話した。
今後、宮古・八重山圏域の5市町村で構成する美(か)ぎ島(すま)美(かい)しゃ市町村会で協議し、政府に対し正式に要請するかどうか決定するという。
毎年、12月初旬から2月に掛けて同周辺海域で操業しているという喜翁丸船長の漢那一浩さん(61)は、「(中国漁船船長の釈放は)法的なけじめではなかったので、心配している。中国漁船はまたやってくると思う。これでは安心して操業できない」と話した。
今年は、同海域周辺での伊良部漁協所属の漁船の出漁は3回計画されているという。