コーラル社株 無償譲渡を可決/市議会9月定例会
沖縄製粉が筆頭株主に/建物は従来通り市所有
開会中の宮古島市議会(真栄城徳彦議長)9月定例会は4日、上程議案に対する質疑を行った。コーラル・ベジタブル(社長・下地敏彦市長、下地字川満)の宮古島市の持ち株すべてを沖縄製粉(竹内一郎社長、那覇市)に無償で譲り渡す「財産の無償譲渡」を先議案件として採決し、与党などの賛成多数で可決した。コーラル社の取締役会や株主総会などを経て10月にも契約を締結する方針。市の全持ち株900株(全体の67・7%)を無償で受ける沖縄製粉が、今後は筆頭株主となり経営を行う。
同議案を委員会への付託を省略したことについて野党から「議会は当局の追認機関ではない」と集中審査を求めたが、市は「時が経てばそれだけ赤字が出る。生産農家や株主などの関係者ができるだけ有利になるような協定書、契約書の締結向け、頑張って交渉していきたい」と理解を求めた。
長濱政治副市長は、コーラル社が金融機関3行と個人から借り入れた計8000万円の連帯保証人は「下地敏彦氏」個人に集約したことも説明。その上で、沖縄製粉に対し①これまで通り、アロエベラを主力商品として農産物を加工する施設として貸与する②コーラル社の現役員は全員退社③従業員は継続雇用-などを求めていく方針を示した。
ただ、市の所有している全株を無償譲渡しても、施設は市の財産として残る。このため、施設の修繕費及び補修費の5万円以上は市が負担することになる。
累積赤字1億1300万円を抱えるコーラル社の経営に、沖縄製粉が参加するメリットについて長濱副市長は「宮古島市に拠点工場を持つことができる。宮古島市の特産品の商品開発や販売ができることではないか」と語った。
市は全株を手放したことで、コーラル社の経営には参加できないが、長濱副市長は「施設は補助金で作った施設なので、補助目的に沿った形で使ってほしい」と述べ、アロエベラを主力にした商品開発や販売に変わりないことを強調。「市が具体的に意見を言える場はないのか」との懸念については、地方自治体が所管する公の施設についての管理運営を民間企業などに委託する「指定管理者制度」の中で反映させる方針を示した。
反対討論で野党の亀濱玲子氏は「無償譲渡する中身がきちんと整理されておらず、将来像が見えない」、国仲昌二氏は「生産農家や関係者に説明するのが先」などと述べ、先議案件として処理せず時間を掛けて慎重に審査すべきだと主張した。
これに対し与党の濱元雅浩氏は「今後も工場、建物を使っての事業が行われていく。スムーズに引き継いでいくのが市民全体の利益につながる」と賛成の立場を示した。この日の本会議では、宮古島漁業協同組合製氷施設改修工事(設備)請負契約1億7820万円についての先議案件も審議され、原案通り可決した。