いまだ干上がったまま/大野山林の池
改善要請から9カ月/野鳥の会「早期の着工を」
平良の大野山林内で野鳥の水飲み場の目的で整備された3カ所の人工貯水池が昨夏の長期干ばつなどの影響で干上がっているとして、宮古野鳥の会(仲地邦博会長)など5団体が、今年1月に下地敏彦市長に改善を要請した。しかし、9カ月経った現在でもそのままの状況となっており、要請した団体からは「早期に対策を図らなければ、再生は不可能になる」と危機感を募らせている。市は、現場の状況などから改修工事には莫大な予算が掛かると見て、「精査が必要」としている。
市、予算面などで模索
要請したのは野鳥の会のほか、宮古虫の会(砂川博秋代表)、宮古自然クラブ(岡徹代表)、宮古青少年の家(安慶田昌宏所長)、宮古写真愛好家協会(与儀一夫会長、当時)。
大野山林内には三つの人工貯水池(ひょうたん池、竜の池、中島池)があるが、いずれも枯渇している。このことから、野鳥の水飲み場の確保や希少種等の生息環境の保全対策も含めての対策が求められている。
水がたまらなくなったのは貯水池に敷いてある防水シートの劣化で、水が地下に浸透していると見られている。
このことから、既存の防水シートを撤去した後、新しい防水シートに張り替える工事が必要とされている。
要請文によると貯水池がある大野山林は①宮古島の水源涵養林である②生物多様生を育む場所③教育の場所④市民の憩いと趣味の場所-と明記。池に水がたまらなくなったことで、それらの役割を果たしていないと指摘している。
担当部署の市みどり推進課によると、梅雨時期にはしばらく水がたまったが、その後の少雨傾向で再び枯渇した。
緊急対策として貯水池の一カ所に古い浴槽2個を設置。職員が見回りしながら水を補給しているという。
改修工事については、車両が現場に入れるよう大野山林内の保安林伐採を県に申請をするなど準備を進めている。
しかし、貯水池にたまっている土砂の除去や敷いてある防水シートの張り替え、さらには山林内への工事車両の移動などで「かなりの額の予算が必要と見られる」(市みどり推進課)。
同課では工事積算基準に基づき、工事費の概算を算出した上で改修工事に踏み切るかどうか判断したい考え。
宮古野鳥の会の仲地会長は「要請した時に下地敏彦市長は『やりましょう』と積極的だった。工事を伸ばせば伸ばすほど、再生には時間が掛かる。大野山林の自然を守るという観点からも早期の改善策を講じてもらいたい」と話している。同会では、再度の要請も検討している。
市みどり推進課の根間正三郎課長は「要請内容は重々理解している。どういう形での改善策が望ましいか、予算面のハードルもあり安全面の対策も含めて検討させてほしい」と理解を求めている。