監視・警備体制の強化を/尖閣諸島海域
安全操業の確保求める/美ぎ島・美しゃ市町村会など
尖閣諸島海域での中国漁船による領海侵犯・衝突事件を受け、宮古・八重山圏域の5市町村で構成する「美(か)ぎ島(すま)・美(かい)しゃ市町村会」(会長・下地敏彦宮古島市長)や石垣市議会、漁協などからなる要請団は4日、民主党の長妻昭筆頭副幹事長や首相官邸、関係省庁を訪れ、監視・警備体制の強化など同海域における漁船の安全操業の確保に向け、毅然(きぜん)とした措置を講じるよう求めた。
要請に参加したのは、下地市長のほか、石垣市の中山義隆市長と同議会の伊良皆高信議長、竹富町の川満栄長町長と同議会の西大舛高旬議長、与那国町の外間守吉町長、同議会の前西原武三議長、八重山漁協の上原亀一組合長など、宮古・八重山の2市2町の首長や議会関係者、漁協組合員など計27人。総理官邸や長妻民主党筆頭副幹事長のほか、法務省、国土交通省、農林水産省、総務省を訪れ、要請を行った。
同日午前に総理官邸を訪ねた要請団は古川元久官房副長官に対し、今回の事件で漁業者は、日本領海内での秩序ある操業の継続に強い不安と懸念を抱いていることを説明。監視・警備体制の強化などを図り日本領海内での国民の生命財産、船舶の安全航行、漁船の安全操業を確保することと、国益の保護などに万全を期すよう強く要請。中山市長は領海侵犯に対して「毅然とした態度で適正な措置を講じてもらいたい」と述べた上で、海上保安庁巡視船などによる常時監視体制の強化なども求めた。
これに対し古川氏は「警備強化に関しては現段階でも行っている」と説明した。
総理官邸訪問に先立ち、要請団は国会内で長妻筆頭副幹事長らとも面会。長妻氏は「党としても(要請を)しっかり受け止めた上で、関係各省庁にきちっと伝える。首相官邸を含めて対応していきたい」との考えを示した。
午後からは農林水産省に筒井信隆副大臣を訪ね「尖閣に、台風のときに(漁船が)非難できるような港を整備してほしい」などと要望。中山市長によると、筒井副大臣はこれに対し「検討するが、政府全体で話し合いをしてからの話」と述べるにとどまったという。
昼には衆議院第1議員会館で、民主党の原口一博前総務相と自民党の岩屋毅元外務副大臣が共同代表を務める超党派の議員連盟「国家主権と国益を守るために行動する議員連盟」との懇談も行った。
下地市長は今回の要請について「各省庁で真摯(しんし)に受け止めてもらい、これから十分に論議し、領海・領土をしっかり確保するよう努力していきたいとの回答をもらうことができた」との感想を示した。