産科医開業費を助成/県保健医療部
医師確保と定着で/市に「基金制度」説明
県は昨年、宮古地区を含む離島などの医師不足を解消するための基金20億円を創設し、関係自治体への説明に入った。地元で産科医を開業する際の費用を助成するなど、医師の確保と定着に結び付けるのが目的。県は産科医へ制度の周知を行うとともに、宮古島市など関係自治体には円滑な推進を図るための予算措置と条例制定を求める。
県保健医療部の阿部義則参事、金城弘昌課長、牧志朋幸主事が20日、市生活環境部の平良哲則部長に、同基金の事業目的と概要を説明した。
基金の名称は「沖縄県北部地域及び離島緊急医師確保対策基金」で、事業期間は今年度を含め2018年度までの5年間。昨年の県議会9月定例会で同基金設置条例案と補正予算案が可決された。
同基金は、宮古、八重山の離島や沖縄本島北部地域で開業したい意思がある人が県立病院で産科医として2年間勤務した後、地元で産科診療所を開設する際の費用を助成するという仕組みだ。
ただ、産科医は昼夜問わずの対応や訴訟を起こされるリスクが高く、若い医師らには敬遠されがち。
加えて離島地域では先進的な医療を学べる機会や指導員の数が少ないことなどもあり、慢性的な医師不足となっているのが現状だ。
阿部参事は「医師が独立して開業しようとしても、資金調達が難しい場合がある。市と県が連携してこれを助成することで、開業する際の負担を減らすことができる」と同基金の目的を強調。先進地事例として静岡県富士市を示し「二つの診療所がこの制度を活用して開業している。他県の例だが実績としてはある」と話した。