途上国での取り組み紹介/大橋開通記念講演会
医療ボランティア・与座氏
宮古島出身の形成外科医で発展途上国での国際医療ボランティアに取り組む与座聡氏による講演会(主催・伊良部商工会ほか)が20日、伊良部公民館で伊良部大橋開通を記念して開かれた。与座氏は、厳しい状況下で行ってきた手術や、ボランティアを続ける理由などを紹介した。
1955年生まれで、高校卒業まで宮古島で過ごした与座氏は、大学卒業後、大阪の病院で外科医として勤務した後、東京警察病院で形成外科を学んだ。現在は東京でクリニックを開業している。
与座氏は1995年、フィリピンで海外での医療ボランティアに初参加。翌95年11月、フランスが組織した国際ボランティアの一員としてルワンダへ行ったことが、自身の分岐点となったと振り返る。「当時、自分は手術がうまいと思っていたが、十分な設備がないとできないこと知り焦燥感を感じた」という。
1カ月後に帰国したが、入れ替わりでルワンダ入りしたスペインの医療チームが地元ゲリラに殺害されてしまう。与座氏は「12月に入るのが自分たちだったら、自分たちが殺されていた。おばあが守ってくれたのだと思ったし、こういう仕事を続けなければいけないということなのだと感じた」と、現在も国際医療ボランティアを続ける背景を説明した。
形成外科の医療については「病気やけが、先天異常などで正常ではない状態となっている部分を治し、限りなく正常な状態に戻すこと」との考えを示す与座氏。「正常に近い状態に戻せるかどうかで、社会に戻ってから当事者が感じるストレスはかなり変わってくる。形成外科の手術は心を救う手術」との考えを示した。
会場には多くの市民が来場し、与座氏の話を熱心に聞き入っていた。