家庭や学校、病院の連携重要/子を守る会県支部
心臓病医療で講演や体験発表
全国心臓病の子どもを守る会沖縄県支部(親川武司支部長)は22日、宮古病院で「医療講演会」を開いた。心臓病患者と向き合ってきた2人の医師が、これまでの経験を通して日常生活や学校生活で気を付けることや、最新の心臓手術を紹介した。先天性心臓病の子供を持つ家族らが参加。講演を通して心身ともに健やかに育つよう家族や学校、病院がそれぞれ連携していくことの大切さを再認識した。
「心臓病のお子さんの育児について」と題し講演した宮古病院小児科医の杉田さおりさんは、「心臓の病気」と聞くだけで、家族や教諭は心配し過ぎて不安な気持ちになる人が多いと指摘。「このため、日常および学校生活で不必要な制限を受けることもある」と述べ、子供の状態を正しく理解して対応することが重要だと強調した。
杉田さんは、日常生活で気を付けることとして①感染予防②栄養管理③肥満④虫歯予防-などを挙げ、家族全員の心掛けや小さいころからの教育で環境を整えることが必要だとした。
学校生活については「特別扱いを受けたり甘やかしたりすると、社会性が身に付かなかったり自立心が育たなくなり、成人になってから苦労することもある」と話し、必要以上の制限はしないよう要望。「親や本人、学校と主治医が連絡を取りながら楽しく安全に過ごせるよう配慮することが大事」と語った。
「子供は周囲の環境やさまざまな刺激で脳の発達が促される」と杉田さん。「乳児期はたくさん声を掛けたり、抱っこしたり、幼児期は同年代の子供たちと遊ぶ機会を増やす」など、それぞれの成長過程に合わせた環境を整え、発達を促していくことを呼び掛けた。
最後に杉田さんは、友達との関わりや自尊心を育むことの重要性を挙げ「子供が成長した時に自分を大切にし、人生を楽しんでいけるような関わりを持ってほしい」と述べた。
講演会では、長田信洋さん(南部医療センター・こども医療センター小児心臓血管外科部長)が、3D立体模型シミュレーターを用いた最新の心臓手術を紹介したほか、比嘉さえ子さんが「心臓手術を乗り越え4人の母となって」との演題で体験発表を行った。