副反応、支援拡充を/子宮頸がんワクチン
市内でも複数の報告例/支える会が議会に陳情
全国で副反応が報告されている子宮頸がん予防ワクチン接種で、宮古島市内の副反応被害者を支える会がこのほど、市議会に対して支援体制の拡充を求める陳情を行った。要請の趣旨は医療機関の受診にかかる必要経費の助成やワクチンを接種した市民全員への実態調査、島内外の医療機関の連携強化など。この陳情は16日の市議会文教社会委員会で審査される。支える会によると、市内での副反応報告例は2件ある。
「ヒトパピローマウイルスワクチン」(子宮頸がん予防ワクチン)接種は、国の緊急促進事業として2010年に公費負担でスタートした。これを受けて各市町村はワクチン接種を市民に勧奨し、接種費の全額を負担して促進を図った。
13年3月には予防法が改訂され、同年4月から子宮頸がんワクチンは定期接種となる。しかし、このころから全国で接種後の健康被害報告が相次いだ。このため厚労省は同年6月に積極勧奨を取りやめ、市も同様の対応を取っている。
ワクチン接種に伴う副反応が疑われる症状はさまざまで、頭痛、全身の倦怠感や疼痛、歩行障害、けいれんなど。宮古島市でも頭痛や吐き気、過呼吸、動悸や脈の異常、睡眠障害等を訴える人がいる。
宮古島の支える会は、このような症状に苦しむ被害者を支援するために今回の陳情を行った。「次々に現れる症状は、診断や治療が難しいことから本人も家族も苦しんでいる」と窮状を訴え。沖縄本島の病院への通院や本土の専門医にかかる際の経費は「経済的にも精神的にも負担」とし、支援の拡充を促している。
具体的には▽医療経費に関する自治体の助成▽子宮頸がんワクチンを接種した全員への実態調査▽相談窓口の設置▽製薬会社にワクチンの成分公表、治療方法の確立を求める働き掛け▽沖縄本島、本土専門医との医療連携システムの確立-などを要望。これを網羅した意見書を関係機関に提出するよう求めている。
副反応に関する市の窓口は健康増進課内に設けられている。同課は引き続き副反応に関する情報の収集を図り、支援体制の整備に向けて検討を進める。
市によると、子宮頸がん予防のワクチンを公費で接種できる対象年齢は中学1年(13歳相当)から高校1年(16歳相当)の女性。積極勧奨は行っていない。