「漁協の了解必要」/市議会定例会一般質問
アーサ採取で市当局/許可や規制の権限有さず
自生のアーサを採取した女性に漁業権侵害の警告書が出された問題で、宮古島市農林水産部は18日、アーサの採取が慣習であることを認めながらも「一般市民がアーサを採取するには漁業協同組合と話し合い、了解を得る必要がある」との見解を示した。共同漁業権に触れる過程で、市が行政権限を有しないことにも言及し「許可や規制等を行うことはできない」と理解を求めた。開会中の市議会3月定例会一般質問で下地明氏の質問に答えた。
アーサ採取に伴う漁業権の侵害をめぐっては多くの議員が質問を通告。慣習で採取した女性に警告書が出されたとする本紙報道は各地に衝撃を与えており、漁協および行政機関の見解が注目を集めている。
一般質問初日に登壇した下地氏は「市民にとっては非常に残念なことだ。当局は市民の目線に立った対応が必要になる」と述べ、市の積極介入を求めた。
これに対し市農林水産部の村吉順栄部長は「宮古島市においては、その沿岸域を取り囲むように、特定の水産動物や藻類等の採取を制限する共同漁業権が設定されている」と指摘し、アーサはその対象種になっていることを説明した。
その上で「漁業権の免許権限は県、行使権限は漁協にあることから、市は行政権限を有しておらず、市が許可や規制等を行うことはできない」と述べた。
「宮古においては昔から海に触れ合う伝統行事や慣習が色濃く残っている」と苦しい胸の内をのぞかせる答弁もあったが、「市民がアーサを採取するには漁協と話し合い了解を得る必要がある」と結論付けた。
この答弁に納得のいかない下地氏は「これでは浜下りもできなくなる。海はみんなのものだ」と訴え、慣習を残す対応を求めた。
村吉部長は「マスコミ報道があって以降、漁協および県、市の3者で調整をしている。近いうちに共同漁業権者である漁協から見解があるので注視したい」と答えるにとどめた。
この日の一般質問には下地氏のほか佐久本洋介、前里光恵、高吉幸光、新里聡の4氏が登壇。市長の政治姿勢をはじめ農業、観光、教育など各分野において市当局の考えをただした。