支える人の支え必要/緩和ケア医療講演会
小澤院長(めぐみ在宅クリニック)が指摘
緩和ケア医療講演会「人生の最期を穏やかに生きるために」(主催・ゆうかぎの会ほか)が4日、市中央公民館研修室で開かれた。めぐみ在宅クリニック(神奈川)の小澤竹俊院長が講師を務め、患者を支える人と、支える人を支える人の必要性を指摘するとともに、対処すべき課題などを説明した。
緩和ケアとは、がん患者のさまざまな苦痛をやわらげるための手当てで、小澤院長のクリニックでは在宅での緩和ケアを実践している。
苦しむ人を援助する場合の基本的な考え方として「苦しんでいる人は、自分のことを理解してくれる人がうれしい」との考えを紹介する小澤院長。理解してくれる人とは話を聞いてくれる人であり、相手が伝えたいことを言語化して返すことで、相手は分かってもらえたと感じると指摘した。
苦しみの種類としては、身体的▽精神的▽社会的▽スピリチュアル-の四タイプの苦しみがあり、「なぜ私がこんな目に遭うのか」などという自己の存在と意味の消滅から生じるスピリチュアルな苦しみから生まれる質問は、答えることができないものが多いことを紹介した。
患者を支える人を支える人も必要であることを強調する小澤院長。「誰かの支えになろうとする人こそ、いちばん支えを必要としている」と語る。
緩和ケアの魅力については「苦しむ前には気づかなかった大切な支えに気付く時、困難と向き合う力が与えられることを学ぶこと」と説明。「人は自らの支えに気付くと、穏やかさを取り戻す可能性がある」との考えを示した。
会場には医療や福祉の関係者、患者やその家族らの会のメンバーなど約130人が来場し、小澤院長の講話を聞いた。