課題は一般財源の確保/宮古島市
中期財政計画を公表
下地敏彦市長は15日の会見で、2015~20年度を期間とする中期財政計画を公表した。財政健全化の判断指標となる実質公債費比率や将来負担比率はわずかながらも年々上昇していくことを予測。普通交付税の合併算定替えによる追加交付額が段階的に減額されていくことも踏まえ「今後は厳しい財政状況が予想されることから、一般財源の確保が今後の課題になる」と総括し、経費削減および歳入の確保に全力で取り組む姿勢を示した。
中期財政計画は、市が健全な財政運営を図るために定める指針。20年度まで6年間の財政収支や方策が盛り込まれている。
財政状況の歳入は、主要財源となる普通交付税が合併算定替えに伴い年次的に減額となる。15年度は122億7800万円を見込んでいるが16年度以降は減少し、20年度は97億7300万円とする推計を立てた。
歳出の人件費は20年度までに51億8100万円とする数値目標を立てた。15年度と比べて9億5500万円の減額となる。
義務的経費に当たる扶助比は16年度から伸び率を2%で試算。15年度の65億6100万円から5年後は72億4400万円まで膨らむことを見込んだ。公債費も増え、20年度の推計額は40億8500万円。
備品購入費や臨時職員の賃金に係る物件費は13年度比10%の削減を目指し、20年度は40億7900万円に抑えたい方針だ。
繰り出し金は国民健康保険特別会計と介護保険特別会計分が増える。国民健康保険は20年度まで対前年比1%増、介護保険は同2%増で推計した。20年度の推計額は国民健康保険が13億5300万円、介護保険が10億6500万円。
これらの収支状況を踏まえて財政運営の健全化方策を定めた。歳入では▽市税等の徴収強化▽使用料・手数料の見直し▽市有財産の売却および貸付-を推進する。歳出では事務事業の見直しや公共施設の再編・統合などの検討を急ぐ。
市の標準財政規模における将来的な負債額の割合を示す20年度の将来負担比率は92・9%と予測。地方債の元利償還など実質的な公債費が財政に及ぼす負担を表す実質公債費比率は15年度の7・8%から9・3%まで上昇するとした。
将来負担比率の早期健全化基準は350%となっており、これを上回ると財政健全化計画を策定しなければならない。実質公債費比率は18%以上で起債が制限されるため財政が一層硬直化する。こういった制限を回避するためにも市債の発行を抑制するなどして数値の上昇を抑える方針だ。
計画公表に当たって下地市長は「経費削減と歳入確保に向けて取り組んでいく必要がある」と強調。計画のまとめでは「一般財源の確保は最重要課題であると認識し、市単独事業の見直しや施設等の統廃合を含めた歳出の抑制、市税等の徴収強化、法定外目的税の導入など新たな歳入確保策を検討していく」とした。