2015年春の褒章を発表
「家族の支えに感謝」/下地愛子さん(64)
藍綬褒章(統計調査功績)
政府は28日付で2015年春の褒章受章者を発表した。功績に顕著な統計調査員を対象とする藍綬褒章は、宮古島市から下地愛子さん(64)が受章した。下地さんは30年以上にわたり、労働力調査員として活躍。対象世帯に調査票を配布、回収して就業や不就業の実態を明らかにし、雇用政策など各種行政施策の基礎資料へ反映させた。
「こんなに大きな章を頂けるなんて…、まだ実感がない」。30年余、労働力の調査に励んだ。1カ月に何日働いて、1週間に何時間勤務したのか。こういう調査を毎月続けた。その功労が認められ、藍綬褒章(統計調査功績)を受章。「家族の協力がなければ続けてこれなかった。みんなに感謝している」と話す言葉に最大限の気持ちを込めた。
知人の勧めで労働力調査員になった。月末になると労働の実態を調べる調査票を15~25件の対象世帯に配布し、回収して回った。
すんなり回収できることもあれば、何度訪ねても留守の時もあった。個人情報を理由に調査票の記入を拒む人も。「何回も通うのは大変だった。辞めたいと思うことは、この間に何度もありましたよ」と苦笑いを浮かべて振り返った。
それでも、この仕事を続けて良かったと思う。
「人と会うということはいろいろな話を聞ける。これは社会勉強になった。特に年配の方はとても多くのことを話してくれる。自分のためになった」
そして何より、家族や周囲の支えに感謝する。「夜に回収するときは、夫が付き合ってくれた。調査に協力してくれた方々や一緒に調査員をやっている人の励ましもあった。子供たちを含めて出会ったすべての人に感謝したい」と話した。
地道に集めた調査の結果は労働力に関する国の統計に生かされている。自分の仕事が形になり、人のためになっているという実感と誇りを感じる。「この仕事を続けて良かった」。しみじみと繰り返した。
下地 愛子(しもじ・あいこ) 1950年11月19日生まれ。64歳。宮古島市平良西原出身。西辺小、同中学校を経て宮古農林高校を卒業。結婚後、83年から労働力調査員に。主婦業の傍ら宮古島市の労働力調査に努めた。