「戦後70年、残されたモノ」/市総合博物館
慰霊の日特別展開幕/199点の資料、写真など
市総合博物館(長濱修館長)で29日から、慰霊の日関連特別展示「戦後70年、残されたモノ~記憶・記録・モノ・遺跡~」(主催・(同博物館)が始まった。6月30日まで。戦後70年を迎え、慰霊の日に合わせて、戦前から戦後までの宮古に焦点をあてた展示。199点の資料や写真などが展示されている。戦争体験や絵画(記憶)や資料(記録やモノ)戦争遺跡などを通して過去の戦争を知り、戦争と平和を考える機会になればとの趣旨で開催している。絵画の展示は慰霊の日特別展では初の試み。與那覇史香学芸員は多くの人の来館を呼び掛けている。
慰霊の日に特別展示を毎年行ってきたが、これまでは日本兵の軍服や持ち物など、身に付けていた物の展示が多かった。今回は、戦争体験者の描いた絵画や日記、戦争遺跡なども展示している。
展示されている絵画は故本村恵清氏が描いた「怒号(2)」や「戦場の亡魂達」など4人の作者の作品7点。「怒号」は戦争で弟を失った本村氏の怒り、悲しみ、苦しみ、恐怖などが表現されている。
写真資料の展示は陸軍飛行場造営に従事する女子挺身勤労隊や、1945年8月に撮影された、米機の猛爆で廃墟と化した平良市街など30点。
実物資料は銃弾や軍靴、水筒、1940年代の米軍発行の宮古島の地図。戦時中、宮古島に来島していた中尾藤雄氏が残した米軍の爆撃の状況などを記した「中尾メモ」など140点。
「子や孫に繋ぐ平和のウムイ事業」で聞き取られた戦争体験談22点が関連する1枚の写真とともにパネルで展示されている。
與那覇学芸員は「戦争を知らない世代が増える中、戦争体験者の証言や記録、絵画などの展示から、多くの人に宮古島にも実際に日本兵がいたこと、体験者たちの表現からその気持ちに思いを馳せ、感じてほしい」と話し、来館を呼び掛けている。
6月23日の「慰霊の日」には関連行事として宮沢貞子さんを講師に迎えて「戦争体験談」と題した講演会が午後2時から、同博物館で行われる。
市総合博物館の開館時間は午前9時~午後4時30分(最終入館は午後4時まで)。月曜日休館。慰霊の日は開館する。入館料は大人300円、大学、高校生200円、中学・小学生は100円。