市が医療、渡航費を助成へ/子宮頸がん予防ワクチン副反応問題
6月議会に予算案
県内初の取り組み/支える会「一歩前進」
宮古島市の下地敏彦市長は1日、子宮頸がん予防ワクチン接種後の健康被害に対する副反応治療における医療費や渡航費などについて市が助成を行うことを会見で発表した。予算案は、市議会6月定例会に上程される。また、ワクチン接種後に健康被害を訴えてこれまでに治療のために費やした医療費や渡航費についても助成要綱に添って、さかのぼり支払うとしている。
下地市長は「ワクチン接種後の副反応を始め、何らかの体調変化が出た人に対して受診、診療のための医療費と渡航費の助成を行うことを決定した。市では1632人に同ワクチンを接種しており現在、実態調査を行っている。何らかの体調変化が現れた市民にはぜひ、この制度を活用してもらい、1日も早く回復されることを願っている」と呼び掛けた。
宮古島市には、今年1月に厚生労働省より、県を通して2件の健康被害報告があり、その後、県内で初めて副反応被害者を支える会が被害者の家族や関係者で発足し、市当局や市議会に各種支援を求めていた。
今回の助成決定について同支える会では「これまでは医療費も渡航費も個人負担だったので、今回の助成決定はうれしく思う。とりあえず一歩前進したといった感じ。現在、市が進めているアンケート調査を踏まえて今後もしっかり支援してほしい」と述べた。
助成対象者は、市が実施する子宮頸がん予防ワクチン接種を受けた者▽同ワクチン接種後に原因不明の持続的な痛みやしびれ、脱力、不随意運動等の症状により、日常生活に支障が生じている者▽症状について、市に相談した者-となっている。
また、助成対象者が18歳未満の場合は、同行する保護者も対象となる。
助成対象の医療機関は、琉球大学医学部付属病院と厚生労働省が指定する協力医療機関となっている。
医療費の助成額は、医療費の自己負担分。ほかの公的制度により、医療に関する給付を受けた場合は、その額を前項の医療費の額から控除する。
渡航費は、沖縄本島への離島割引航空運賃とし、往復分を助成。また、沖縄本島から他地域へ治療のため渡航する場合の航空運賃については、5回を限度に往復航空運賃の2分の1を上限として助成する。
診療にあたり宿泊を余儀なくされた場合においては、渡航1回につき1泊分の宿泊費を助成する。県内は1泊8000円、県外は1泊11000円が上限。
下地市長は「現在、アンケート調査を実施しており、その結果や実際に診断を受けている本人などからも話を聞いて、交付要綱については今後拡充することも検討している」との見解を示した。
ワクチン接種に伴う副反応が疑われる症状についてはさまざまで、頭痛、全身のけん怠感や疼痛、歩行障害、けいれんなどがあり宮古島市でも頭痛や吐き気、過呼吸、動悸(どうき)や脈の異常、睡眠障害等を訴える子供たちが複数いる。