宮古産そば 甘みと粘り特徴
手打ち職人が絶賛/試食会で将来に期待
宮古島で生産されたそばの試食会が12日、市中央公民館で開かれた。宮古島産のそばを取り扱う熊本製粉は、日本そばの端境期となる夏季に新そばを供給できるメリットを強調。宮古島産の特徴として甘みと粘りを挙げ、「夏の需要期に新そばを発信できるのは大きい」と限りない可能性に触れた。播種から3カ月程度で収穫できるため、夏植えサトウキビの間作としての活用も期待される。
この日の試食会は宮古島穀物生産組合(新里五尾組合長)が主催した。県、市の行政関係者をはじめ市議会議員らが参加した。
組合によると今期は宮古島で約10㌧収穫。反収は本土の平均60~70㌔を上回る100㌔前後の豊作で、品質面でも優れるという。
熊本製粉からそば粉の分析結果が示され、色調などはほぼ北海道産と同等であるとし、もちもち感・粘りを表す数値が高かった。
遊離アミノ酸分析結果の中で分かった「甘味系」の数値は北海道産の26を上回る32、「苦味系」は北海道産の41・2に比べて28・9と低い結果が出た。
そばは主に関東以北、寒暖の差が大きい地域で栽培されている。これを踏まえて手打ち職人の岡﨑哲さんは「ここに来る前は、失礼だがたいしたことはないと思っていた。しかし、そばをふかしてみると想像以上の結果だった」と驚きの表情で語った。「分析結果の通りで香りが強く、こねると非常に粘りがある。ゆであがったものを試食するとほのかな甘みがあって歯ごたえもある」と絶賛。「このそば栽培を一過性に終わらせるのではなく、これからも続けてほしい」と話して大きな期待を込めた。
農地の有効利用を推進している市農政課の福里匡課長は「これを間作として活用できれば農家の所得向上にもつながる」と話す。試食会では「そば栽培は10年ぐらい前から宮古総合実業の生徒の皆さんが研究を進めてきた。それが今回の栽培にもつながっている」などと紹介し、同校の取り組みを高く評価した。
試食会の参加者は、手打ちの実演を見た後に出来たてのそばを試食し、その美味に舌鼓を打った。
下地敏彦市長は「こしがあるし、甘い。大きな可能性を感じる。宮古島の特産品にしたい」と感想。真栄城徳彦議長は「ぱさぱさ感がなく、まろやかで弾力性がある。こしも強い。そば栽培が一大産業になることを期待したい」と話した。
生産量の確保およびどの程度の収入が見込めるのかという課題はあるが、端境期出荷という点で本土産との差別化は図れる。熊本製粉では「流通上一番良い時期に出せる」とし、宮古島産の可能性を強調した。