かん水補助、来月開始
干ばつ対策会議開く/農家負担は1500円を予定
少雨傾向で干ばつ被害が懸念される中、宮古島市の第1回干ばつ対策会議が18日午前、市役所上野庁舎で開かれた。昨年までかん水補助で活用してきたサトウキビ増産基金の発動要件が厳しく設定されている現状を確認し、当面は市が単費を投入して対応する方針を固めた。このまま雨が降らない場合は7月1日からかん水を実施する。費用はトラック1台当たり3500円。市が2000円を補助し、農家負担は1500円となる見通しだ。
宮古島地方の降雨は6月に入ってほとんどない。製糖工場によると、少雨の影響で灌漑施設がない一部のほ場では、サトウキビの春植えや株出しの葉のロール現象が見られるという。このまま雨が降らない状態が続けば「黄変が始まる」と現場の状況を報告した。
農業研究センター宮古島支所は夏植えのサトウキビにも影響が出ると指摘。水を与えるキビと与えないキビの生育を調べると、「水を与えた方は1日2~3㌢伸びるが、与えない方は5㍉しか伸びない。生育への影響は出始めている」と説明して警鐘を鳴らした。
対策協議では、はじめにキビ増産基金の発動要件を確認した。従来はかん水補助を決めれば基金を発動できたが、今年からは1カ月の降水量が平年値と比べて1割未満の場合にのみ発動される仕組みに変わった。
これに従うと宮古島地方の場合、18日から30日の降雨量が7㍉未満であれば基金を発動できるが、これ以上降ると発動は不可。現実的に7月初旬までの対応は困難な状況にある。
ただ、基金発動の有無にかかわらず、市が単費を投入してかん水を実施する方向性を確認した。同課の福里匡課長は、「当面は全体をやるのではなく、苗用のほ場を優先してかん水する方向になる」と説明。かん水の早期実施を求める声に対しては「まずは自主的に対応していただき、その後にかん水補助を行うので理解してほしい」と述べた。
会議には気象台の職員も参加して降雨予想などを報告した。「向こう1週間は平年より少ない状況が予想されている」とし、少雨傾向の解消には至らない状況にあることを説明した。