自衛隊配備で抑止力強化/協力会主催講演会
小川氏が必要性主張
静岡県立大学特任教授で軍事アナリストの小川和久氏による講演会「緊迫する国際情勢と南西諸島の防衛~宮古島への陸上自衛隊配備がなぜ必要か?」(主催・宮古地区自衛隊協力会)が19日、マティダ市民劇場で開かれた。小川氏は防衛省が計画している宮古島への陸上自衛隊配備について、東シナ海での中国に対する抑止力強化のために必要と主張した。
尖閣諸島周辺で領海侵犯を繰り返す中国の動きにつて、中国国内に向けたアピール行動であるとの考えを示す小川氏。中国艦船が海上自衛隊護衛艦にレーダー照射を行った事件についても「けんかを売っているやり方ではない」との認識を示し、「彼らの目的は日本のマスコミに大きく取り上げられ、それが中国国内に伝わること。日本に対し弱腰でないことを伝えるため」との見解を語った。
東シナ海での中国の行動については、「日米同盟があることが抑止力となっていて慎重にならざるを得ない」とした上で、「宮古島へ自衛隊を配備することはそれをさらに強くすることになる」と宮古島への自衛隊配備は意義があるものと主張。自衛隊基地があることで攻撃対象となる恐れがあるとの意見については全面否定し、「戦後、アメリカの同盟国が攻撃されたことはない。攻撃するには世界を敵に回す覚悟が必要になる」との考えを述べた。
宮古島周辺海域は中国にとって重要な水路との認識を語るとともに、「宮古島へ自衛隊を配備することは平和と安全が目的」であり、「中国をコントロールする上できわめて重要」との持論を披露した。
自衛隊について、「国民と常に一緒に暮らし、災害時には復旧活動に当たる組織。軍事組織としてだけでなく、国民生活の中での位置づけを知ることが必要」との認識を語る小川氏。「宮古島に陸上自衛隊が来ることで災害発生時に迅速な対応が可能になる」と配備の利点を訴えた。
「軍事組織は究極の危機管理のための組織。大災害時の対処の能力は高い。警察や消防の役割も重要だが、自衛隊がいて、役割を分担することで住民は枕を高くして眠ることができる」と主張した上で、「自衛隊が来ることで災害に耐える力が生まれ、東シナ海周辺も安定し、そして市の振興に直結するのであれば、悪い話ではない」と締めくくった。