「戦争は人を鬼にする」/市総合博物館
宮沢さんが戦争体験語る
5月29日から行われている市総合博物館の慰霊の日関連特別展示「戦後70年遺されたモノ~記憶・記録・モノ・遺跡~」(6月30日まで)の関連行事として23日、「忍びよる戦禍を憂う」をテーマに宮沢貞子さん(79)が自らの戦争体験談を講話した。宮沢さんは、宮古島で体験した「10・10空襲」について当時の状況を紹介しながら「戦争は人を鬼にしてしまう。絶対に戦争による悲劇を繰り返してはいけない」と訴えた。
平良西里出身で現在は沖縄本島に住む宮沢さんは、琉球大学卒で学校教諭として活躍し「沖縄のむかしばなし」などの著書がある。
太平洋戦争当時の宮古島の様子については「当時小学校3年生だったが宮古にも朝鮮人の慰安婦がたくさんいたことを覚えている」と話した。
さらに「戦時中の『10・10空襲』の時に西里通りが燃えているのを見て本当に戦争の怖さを感じた。逃げまどう私の服には胸の部分にどこで死んでも誰か分かるように住所と名前が大きく書かれていた」と当時を振り返った。
そのほかにも「宮古でも空襲の時には、いつもは優しい近所のおじさんが隣の家で泣いている赤ちゃんの鳴き声で敵に居場所がばれてしまうと訴え『口をふさげ』『絞め殺せ』と恐ろしい言葉を投げ掛けた。戦争は他人のことが考えられなくなり、優しい気持ちを失わせ人を鬼にしてしまう」と話し、悲惨な戦争を二度と起こしてはいけないと来場者に訴えた。
会場には多くの市民が詰め掛け、宮沢さんが話す太平洋戦争当時の宮古島の様子について真剣な表情で聞き入っていた。