自衛隊配備計画、あす採決へ/市議会総務財政委
誘致、反対陳情書を同時審査
市議会の総務財政委員会(嵩原弘委員長)は29日の委員会で、防衛省が宮古島市へ打診している陸上自衛隊の配備に対し、誘致派と反対派の二つの市民団体から提出されている「陳情書」の審査、採決を行う予定だ。同委員会に付託された誘致派の陳情書はこれまで2度にわたり「継続審査」とするなど、与党市議も慎重姿勢を崩さなかった。しかし、下地敏彦市長が「配備は必要である」と明らかにしたことで、与野党の論戦が激しくなる見通しだ。
同委員会の採決結果は、7月8日の最終本会議の採決に反映されると見られる。市議会では下地市長を支える与党が多数を占めており、採決の結果次第では下地市長が正式に陸自受け入れを表明する可能性もある。
一方、反対派の市民団体は27日、「市民に説明することもなく、市長や議会多数で配備を容認していくことは断じて認めることはできない」とした抗議声明を発表。あらゆる手段で配備計画を阻止する構えだ。
下地市長はこれまで、自衛隊配備については「市議会でどういうふうに判断するのかを見た後に判断する」と述べるにとどめ、自らの考えを明確にしなかった。
野党市議の一人は、下地市長が議会開会と同時に記者会見を開き、「自衛隊配備は必要」と表明したことに「慎重派の与党市議に、賛成しやすい環境をつくろうとしたのではないか」と話した。
一方、与党市議の一人は「市長の考えはどうかは知らないが誘致派、反対派の両市民団体が示した陸自配備へのメリットとデメリットを総合的に勘案し判断する」と語った。
与党市議や中立系議員の中には、防衛省の部隊規模は700~800人、地対空・地対艦ミサイル部隊の配備計画に「当初より規模が増えている」と戸惑いも見られ、「慎重な上にも慎重を重ねる必要がある」との声もある。
総務財政委員会に付託され審査、採決される予定の陳情書は、自衛隊配備促進協議会(野津武彦会長)の「宮古島市への自衛隊早期配備に関する要請」と、平和運動連絡協議会(清水早子共同代表)の「自衛隊の宮古島配備に反対する要請」の2件。
この2件の陳情書とは別に、一般市民から「自衛隊配備への賛否の判断材料がない」として、経済損失や経済利益を試算し市民に公開するよう求める請願書も提出されており、付託された同委員会で審査する。