歓迎と危機感交錯/陸自配備陳情書採択
賛成派「早期配備を」
反対派「民意封殺だ」
29日午後、市役所平良庁舎6階会議室。市議会総務財政委員会の嵩原弘委員長が陸自配備を求める陳情書の採択を告げた。会場の反対派住民からは一斉にため息が漏れ、「住民の声を聞かないんですか」「民意の封殺だ」とあふれる感情をそのままぶつけた。一方の賛成派は採択を歓迎。「採択に感謝している。1日も早い配備を期待する」などとして委員会の判断を高く評価した。陸自配備の動きは加速化の様相だ。
午前9時55分ごろ、議会事務局の職員が傍聴用のいすを並べ始めた。委員会としては異例の対応だ。
午前10時の開会に合わせて入室した市民は38人で賛成派も反対派もいた。その後も入室が続いて同11時には43人を数えており、この問題に対する市民の関心の高さをうかがわせた。
審議が始まると傍聴者は各委員の意見に聞き耳を立てた。陸自配備を求める陳情内容について賛成、反対それぞれの主張が展開される中、一部反対派の住民が声を上げて嵩原委員長に制止される場面もあった。
午後の審査で陳情が採択されると、反対派の住民は落胆の声を上げた。委員会終了後は、「市民の民意はどうするのか」「宮古島市自ら(陸自配備を)要請するのか」「恥ずかしい」と批判の声をぶつけた。
平和運動センター宮古島の下地朝夫議長は「本当に残念だ」と肩を落とし「民意がまるで反映されていない中での採択だ。宮古島市の将来を決める重要な選択になる。それを住民に説明しないまま決めて、子や孫にどう責任を取るのか」と強い憤りを示した。
「自ら自衛隊を呼び込むなんてありえない」と怒りを表すのは陸自配備に反対する陳情書を提出していた宮古平和運動連絡協議会の清水早子共同代表だ。「民意の封殺であり、退席した議員を含めて責任を放棄していると思う」と話した。
一方、賛成派は採択に安堵(あんど)した。自衛隊配備促進協議会の野津武彦会長は「委員会の採択に感謝している」と述べ、配備計画の前進を歓迎。「自衛隊の配備はメリットこそあれデメリットはない。宮古島が大いに活性化する。本会議でも無事に陳情書を通してほしい」と話した。
同協議会の湧川弘範事務局長は国防、防災、経済でのメリットを主張し「われわれとしては早急に(自衛隊を)配備してほしい」と話し、陳情採択に伴う配備計画の加速化を期待した。