陸自配備の陳情採択/市議会
与党などの賛成多数/「経済的メリット大きい」
防衛省が計画する宮古島市への陸上自衛隊配備に関し、市議会(真栄城徳彦議長)は8日の本会議で、同市への自衛隊早期配備を求める陳情書を与党などの賛成多数で採択した。「抑止力による地域の平和を守るための自衛手段で、経済的なメリットも大きい」などを理由とした。下地敏彦市長は同日記者会見し「議会の意思だから尊重したい」と強調。市議会同様、事実上受け入れる考えを表明した。配備に反対する陳情書は不採択にした。
与党会派の公明2人は「市民や議会への説明がなされていない」などとして退席。中立系会派の21世紀新風会も「賛否を判断するに値する説明がなかった」として会派5人中、4人が退席し、2件の陳情書の採決には加わらなかった。
「早期配備」の陳情書の採決は、公明を除く与党14人と21世紀新風会の池間豊氏の計15人が賛成し、野党3人と会派に属さない國仲昌二氏の計4人が反対した。
「配備反対」の陳情書の採決は、野党3人と國仲氏の計4人が賛成し、与党14人と池間氏の計15人が反対した。
「早期配備」反対の亀濱玲子氏は、市民説明会が開催されていない状況を上げ「当局は地域への説明責任がある」と指摘。「それが果たせないまま、議会が早期配備を決めるのは、市民から負託を受けた議会としてはあってはならない」と主張した。
國仲氏は、総務財政委員会で採択された要請書の内容を上げ、「(防衛大臣など関係機関への)意見書を送付しないのは矛盾している」と反対した。
一方、早期配備に賛成の平良敏夫氏は「世界情勢は紛争と侵略と暴力が絶えない。そういう中で、自国の国民の生命と財産を守るためには、抑止力による地域の平和を守るための自衛手段はあるべく姿だと思う」との見解を述べた。
粟国恒広氏は抑止力や国防上の観点から賛成との考えを示し「災害や防災などに迅速な対応ができる。宮古島への経済的なメリットも大きい」と早期配備を求めた。
陸自配備は、中国が尖閣諸島周辺を含む東シナ海で活動を活発化させていることを踏まえた南西諸島の防衛力強化の一環。防衛省は警備、地対空ミサイル、地対艦ミサイル3部隊の700~800人を配備。上野野原のゴルフ場千代田カントリークラブと、平良西原の大福牧場周辺を駐屯地や火薬庫などとして活用する計画で、関連経費を2016年度予算概算要求に盛り込む方針。