傍聴人が怒号とヤジ/市議会最終本会議
陳情採択巡り騒然/3人に退場命令、賛成派は評価
「市民不在だ」「自衛隊誘致に対する権限など与えていない」-。8日に行われた市議会6月定例会最終本会議で、自衛隊誘致を求める陳情書が賛成多数で採択されると、傍聴席に詰め掛けた配備反対派の住民は抗議のプラカードを示し、怒号とヤジが飛び交い一時議場は騒然となり混乱した。結局、真栄城徳彦議長が傍聴者3人に退場を命じる事態に発展した。
抗議の声を上げる傍聴者に、プラカード掲げる行為や賛否を表明する行為は禁止されてていることを真栄城議長が説明しても反対派の怒りは収まらないことから、協力に応じない傍聴者3人に退場を命令した。
退場命令を受けた宮古平和運動連絡協議会の清水早子共同代表は、今回の議会判断を「恥ずべき行為」と糾弾。「市民不在で市民の声を無視した行為。良識も見識もない人たちによる『採決ありき』の議会だった。宮古島にとって汚点となる1日になった。これからさらに大きな反対の運動を展開していきたい」と述べた。
同じく退場となった「止めよう『「自衛隊配備』宮古郡民の会」の下地朝夫共同代表も「怒りでいっぱい。総務財政委員長はまともに野党の質問に答えていないし、市民の声を聞こうとしていない。与党議員はまるで市長に任命されたかのような人たちでさまざまな問題を含むこの問題をこんなに簡単に決めてしまう議会に怒りがいっぱい」と話した。
一方で、自衛隊誘致賛成派の市民も傍聴に訪れ、今回の議会判断を評価した。
自衛隊配備促進協議会の野津武彦会長は、提案した陳情書が採択されたことを評価した上で「自衛隊の配備は経済の活性化、災害復旧、急患搬送など宮古にとってメリットしかない。住民説明会については市が実施する分には歓迎だが住民投票については宮古島への配備に向けた防衛省の予算措置のタイムリミットが8月末となっており時間がないので必要ないと考えている」と述べた。
自衛隊配備の必要性を強く訴える「宮古島の未来を考える会」の宮城隆さんは「国防の問題は地域主権では解決できない」と訴えた上で「この問題については住民説明会はやってもいいが、自衛隊配備は最終的に国防の問題であり住民投票は必要ない。市民は国際情勢がどういう流れか見極めることが必要」との見解を示した。
そのほか、今回の議会判断を受けて40代の女性は「どうせ何を言っても自衛隊は配備されると思っていた。反対か賛成かと言われれば正直何がどうなるのか分からないので何とも言えない。人口が増えることで経済がよくなるのであればそれはそれで歓迎したい」と述べた。
50代の男性は「自衛隊の配備は容認しても良いかなと思っていたが、いきなりミサイルも配備される話になり、どんどん話が大きくなっている中で、説明もないまま進んでいることが怖い」と配備内容に対する不安を述べた。