農作物被害 キビ2億円/台風9号
マンゴーは一部で落果被害/少雨傾向の解消喜ぶ声も
ほぼ丸一日宮古島地方を暴風域に巻き込んだ台風9号の影響で、サトウキビやオクラ、マンゴーなどの農作物に被害が出ている。宮古島市が11日に発表した被害速報によると、サトウキビで2億円の被害が発生している。ただ、台風の接近でまとまった雨を観測しているため、少雨傾向の解消を喜ぶ声もある。マンゴーは一部の農園で落果の被害があった。全体の被害額は2億576万円。
被害調査は宮古島市をはじめ県、JA、製糖工場などが11日に行った。同日午後に市の農林水産部が被害速報として発表した。
サトウキビは夏植え、春植え、株出しのすべてのほ場で被害が発生。一部で梢頭部の折損や葉の裂傷が見られたが、被害率は3%と深刻な被害はなかった。
2億円の被害が出ているものの、この台風がもたらした雨は大きい。
宮古島地方気象台によると、9日の降り始めから11日午後4時現在の雨量は▽平良179・5㍉▽城辺新城187㍉▽宮古空港163・5㍉▽下地島空港129・5㍉▽多良間仲筋83㍉-と、各地でまとまった雨量が観測されている。
少雨で干ばつ傾向にあった宮古島にとっては「恵みの雨」で、台風が通過した11日も雨が降り続いたことから、市農水部では「塩害の被害も軽減されるのではないか」とみている。
今回の雨を受け、市は台風前まで実施していたかん水をいったん停止する。週明けに製糖工場など関係団体と協議し、塩害の状況を見ながらかん水継続の必要性を見極める方針だ。
サトウキビのほか、マンゴーはパイプハウスなどで栽培している一部の農園で落果被害が発生した。中には10%の被害率が見込まれる農園もあった。ハウスの造りや強度によって被害に格差が出たようだ。
野菜では収穫期のオクラで被害が発生した。茎が傾いたり、葉がちぎれたりしている。被害額は277万円となっている。
このほか、台風による停電の影響で、搾った牛乳を廃棄処分にせざるを得ない状況も発生しており、45万円の被害が出ている。