乳酸克服で完走を/琉球大学
科学・医学的知識を吸収/ランニング講座始まる
琉球大学による「市民ランナーのためのランニング科学講座」が1日、琉大ほか宮古島、石垣島、久米島のサテライトキャンパスでスタートした。ビデオ会議システムを活用して双方向の公開講座を実現。各サテライト会場の市民がランニングに必要な科学的、医学的な知識を吸収した。琉大医学部保健学科の尾尻義彦さんらは、運動中に筋肉疲労を引き起こす乳酸蓄積の克服を促し「頑張らず、苦しまずに完走しよう」と各会場に呼び掛けた。
この講座は、ランニングに関する知識を学び、健康的なライフスタイルを創造することが狙い。
サテライト教育システムを使って各会場をインターネット上で結び、広く一般の市民が受講できるような環境を整えている。
宮古島キャンパスがある市中央公民館にも一般の市民が訪れ、尾尻さんほかマラソン県記録保持者の仲間孝大さんの話を聞いた。
マラソン完走に向けて尾尻さんは「初心者は基本的にゆっくりと長い距離を走ること」と指導。走る速さの目安は「『きつさを感じない』か『少しきつい』の範囲内」とした。完走できる練習量の目安は「1週間の合計で42㌔」と話した。
筋肉の疲労を引き起こす乳酸は「エネルギー源として再利用されている」とする科学的見地を紹介し、蓄積された乳酸が除去されていく体内活動の仕組みを活用するよう促した。
乳酸対策については仲間さんが実際に走った自分のレース速度を示して具体的な報告を行った。後半ペースダウンしてしまったレースの原因として血中乳酸濃度が限界点(LT)を超えたことを説明。そうならないためにも尾尻さんが速度の目安とした「きつさを感じない」「少しきつい」の範囲内で走り、乳酸を克服するよう呼び掛けた。
さらに仲間さんは、「非常に楽である」から「非常にきつい」までを数値化したボルグ・スケールと呼ぶ主観的運動強度も示し、レースでは「ややきついぐらいで走ってLTを超えないようにすることが大切。ぼく自身も気を付けてレースに臨んでいる」と話し、マラソンでは自分を制御して無理のないペースで走ることが重要だと説いた。
各サテライト会場の市民は2人のランニング論に耳を傾け、マラソンシーズンに向けて意欲を高めた。
講座は11月21日までの全6回。レースに向けてのトレーニング方法やマラソンの心理学、ランナーの食事などさまざまな分野の識者が講師を務める。ランニングの実技指導もある。宮古島キャンパスでの実施は10月3日。マラソンの心理学についての講座がある。
講座に関する詳しい問い合わせは市中央公民館(電話73・1123)まで。