がん患者支援で研修会/治療法や終末期ケア紹介
関心高く、市民70人参加
沖縄がん心のケア研究会と県がん患者会連合会主催のがん患者支援研修会「いのちの授業~いちばん大切な人といちばん大切なこと、学んでみませんか~」が26日、市中央公民館研修室で開かれた。国立病院機構沖縄病院の石川清司医師とサマリヤ人病院の栗山登至医師らが講師を務め、がんの症例や治療法、終末期医療などホスピスの現状などについて紹介した。
「がん・神経難病の患者さんから学んだこと」と題し講演した石川氏は、毎年、受けていた検診では肺がんを見つけることができず、分かったときには末期となっていた事例を紹介し「治る段階で病気を見つけることの大切さを痛感した」と語った。
「手術や放射線治療は怖くて痛いとのイメージがあり治療をためらう人もいる」と語る石川氏は、麻酔や医療機器の進歩などにより手術の痛みは低減していること、放射線治療でがんの痛みを抑制できることなどを説明。「手術と放射線治療の併用も有効」と指摘した。
早期発見には定期検診の受診とともに、「掛かり付け医」で日ごろから健康チェックを受けることも重要と指摘した上で、「がんは怖くないが、進行すると手強い」と早期発見の重要性を強調した。
栗山氏は「終わりがあるから愛おしい、大切な1日1日を生きる」をテーマに講演。緩和医療医で精神科医である栗山氏は、末期がん患者などに緩和治療や終末期医療を行うホスピスの雰囲気について「最期が分かっている、一日一日が大切な人たちが来るところなので、暗くなく、みな明るい」と語る。
「終活」と表現される人生の終わりの活動について、「考えることは死の瞬間のことではなく、死ぬまでの生き方」と指摘し、限りある時間を大切にし、大切な言葉を伝えることなどが重要との考えを表明。「自分がどうしたいのかと思って生きていくことが大切」と呼び掛けた。
2氏の講演後、宮古がん患者の会「宮古ゆうかぎの会」の川満敏次副会長と八重山がん患者支援会「やいまゆんたく会」の黒島富士子さんが、それぞれの立場からがん治療の現状などについて語った。
会場には約70人の市民らが来場し、講演に聞き入っていた。