酒と上手に付き合おう/目標立てて飲酒量減
精神科医の真栄里さん講話/市主催、心の健康講座
飲酒についての講演会が3日、市中央公民館で開かれた。講師で精神科医師の真栄里仁さんが、酒の飲み過ぎが原因となる身体の病気や、飲酒量と自殺の因果関係などについて分かりやすく説明した。「酒は正しく飲めば体に良いが、飲み過ぎればこれほど害のあるものはない」と指摘。普段から飲酒量が多い人には「飲む量を決めたり、飲んだ量を記録すればかなりの量を減らすことができる」と話し、具体的な目標を立てて実行することを促した。
真栄里さんの講演のタイトルは「長生きできるお酒の飲み方・付き合い方~飲酒機会の多い家族を支えるために~」。心の健康講座として、市障がい福祉課が主催した。
講演で真栄里さんは、「高齢者になると体の水分が減少し、アルコールの濃度が高くなり酒に弱くなる」と説明。高齢者の大量飲酒は、認知症や脳梗塞の原因になることや、骨粗鬆症を悪化させ骨折のリスクが高くなることを示し、飲酒量を減らすことが予防につながるとした。
「女性の肝臓は男性より酒に弱い」と強調し、特に妊娠中の飲酒は、胎児性アルコール症候群の可能性が高まると指摘。「赤ちゃんに影響を与える飲酒は控えるべきだ」と注意を呼び掛けた。
自殺で亡くなった人の約4割が、飲酒後であるとのデータを紹介。酒の勢いを借りて衝動的に自殺する場合があるとして「前触れもなく突然死んでしまう。周囲は非常にショックを受ける」と話し、自殺対策は多量に飲酒する習慣を持つ人への対策でもあるとの持論を展開した。
飲酒を減らす方法として▽飲み会ではオトーリ5杯以内▽週に数回は飲まない日を決める-などの目標を立てて実行することが望ましいとした。「ただ無理はしないこと。まずは自分にできることから始めてほしい」と現実的な目標設定を促した。
飲んだ量や飲んだ状況などを記す「飲酒日記」の効用も挙げ「奥さんが、時々日記を見て『頑張っているね』などと声をかけて褒めてやれば、効果はさらに高まる」と話し、飲酒量を減らすには家族の支えが何よりも大切だと訴えた。