オランダ商船を潜水調査/今月20~27日
1857年、多良間沖で沈没/九州博物館が実態解明へ
【多良間】1857年(琉球王国末期)、オランダ商船「ファン・ボッセ号」(W・E・ハーゲマン船長)が中国上海からシンガポールに向け航海中、嵐に遭い漂流。多良間島西側に位置する高田海岸沖合のリーフに接触し座礁・沈没してから今年で158年が経過した。九州国立博物館・博物学科が20~27日までの日程で同号が沈没した地点で潜水調査を実施する。調査では、海底探査装置と水中ロボットを使用し、海底に眠る遺物を探し当てて歴史的事実を解明していく。
同号の沈没以後、台風が過ぎ去るたびに同海岸には中国製の焼き物や清朝磁器などの遺物が打ち上げられ散乱していたと伝えられている。その遺物は積荷ではなかったかと推定されている。
水深約㍍からリーフにかけて遺物の点在が確認されているが、これまでに実態を把握する詳しい調査は行われていない。
近年、沈没地点は、地元のダイビング業者が遺跡ポイントとして活用している。
今回の調査は、貴重な遺跡の保護と将来的に地域での遺跡活用が目的で実施される。3次元海底地形図の作成や遺跡の確認調査を行う。
作業方法としては漁船に取り付けた海底探査装置と水中ロボットで遺物の集積地点を中心に海岸に沿って約2㌔のベースラインを想定。水深10㍍前後の地点から沖に向って10~15㍍間隔で海底面の探査を行う予定だ。
かつて高田海岸沖合から同号の鉄製錨が引き上げられた。現在は、国際親善の一環として、村ふるさと民俗学習館に保存展示されている。