キビ交付金 引き上げ要請へ/運動方針説明会
TPP合意で危機感/中長期的な振興対策も
2015年度サトウキビ運動方針に関する説明会が9日、JAおきなわ宮古地区本部で開かれた。環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意によって「生産の衰退が懸念される」と危機感を共有。サトウキビ生産の持続的発展および再生産を可能にするために、交付金水準の引き上げを政府・与党に要請することなどを確認した。新たな増産計画の策定並びに中長期的な生産振興対策も求める。団体要請行動は12月を予定。
重点要請項目は▽TPP関連に対応した国内対策▽糖価調整制度の堅持と財源確保▽再生産可能な甘味資源作物交付金水準の引き上げ▽キビ増産基金事業の継続並びに新たな生産振興対策予算の確保▽サトウキビ生産振興総合対策-など。
交付金額は、維持・確保とする文言よりも強い「引き上げ」を要請項目に明記した。台風や干ばつ被害による生産低迷および生産コストの上昇、原料代引き下げによる経営環境の悪化に加え、TPP大筋合意による不安の高まりで「生産の衰退が懸念される」ことを要請の根拠に挙げた。
現行の交付金額は1㌧当たり1万6420円。15-16年期はこの金額が据え置かれる。今回の要請行動は16-17年期産に適用するよう国に訴えていく。
そのほか、輸入糖に調整金を課す糖価調整制度の堅持と、財源(交付金)の確保を求めて行動する。
TPP大筋合意で同制度は維持されるが、高糖度精製用原料糖の調整金削減や加糖調整品の輸入量が一定程度増えることで調整金の収入が減少する可能性があることを指摘。TPP大筋合意による影響を最小限に抑え、生産者と甘しゃ糖企業の経営安定を確保する観点から、「現行の糖価調整制度の枠組みを堅持し、制度運営に必要な予算措置を講ずること」を求める。
サトウキビ増産基金(セーフティーネット基金)に関する次年度以降の予算確保のほか、甘しゃ糖および含蜜糖企業が安定操業を行う上で十分な経営安定予算の確保なども要請する。
今後の運動スケジュールによると、12日に南風原町立中央公民館でサトウキビ政策確立県農業代表者大会を開く。その後、今月中旬に県内で要請し、関係機関を網羅した要請団で行う東京での要請行動は12月に実施する予定だ。