伊良部観光でアンケート/伊良部商工会
滞在時間短く消費少ない/”大橋通過型”浮き彫り
伊良部島を訪れる観光客の多くは、レンタカーを利用し、1~3時間で島をぐるっと回り、買い物や食事などはせずに宮古本島に戻ってくるという観光形態が、伊良部島観光マーケティング調査結果(伊良部商工会実施)で分かった。調査結果をまとめたJTB総合研究所は、観光客は新鮮な魚介類を味わえる飲食店や、風景を楽しみながら飲食できるおしゃれなカフェを求めるなど、観光消費につながる潜在的な需要があることがうかがえると指摘。「景色を見て素通りするだけでなく、消費させる観光地の整備が必要」と課題を挙げた。
アンケート調査は今年9、10月に実施。宮古空港で観光客を対象に行ったほか、伊良部に訪問経験のない人へはインターネットを利用して、伊良部島への印象やイメージ調査をした。回答者の多くは20~30代の女性で、計247人から回収した。(一部未回答あり)
それによると、伊良部島の滞在時間は半数以上が3時間未満と極めて短く、レンタカーで訪れて帰っていくという傾向になっている。
島内に入った時間は午前9時~午後5時、島外に出た時間は午前11時~午後7時に集中しており、午後7時以降に島内に滞在している観光客はほとんどいない状況となっている。
伊良部大橋を渡ることを目的とする観光客が、全体の7割以上を占め、島の新たな観光スポットとして認知されている。
一方で、島の入り口に当たる伊良部大橋が観光のメーンとなることにより、通過型観光の増加で観光消費の減少が懸念される結果となった。
JTB総合研究所では「伊良部大橋を渡りきり、伊良部島に着いた時点で、目的達成をしているという観光状況が分かった」と述べ、島に到着してから観光客にどう消費させるのかが大きな課題だとした。
観光消費額は、実際に何らかの支出をした観光客の平均額は一人8000円程度だが、回答者247人のうち、半数以上の130人が「消費ゼロ」と回答している。「レンタカーでぐるっと景色を見て、お金を落とさずに帰っていくというのが典型的な伊良部島観光となっている」(同研究所)。
伊良部島に来たことがない人へのイメージ調査では「海がきれい」「美しい自然や風景が楽しめる」「マリンスポーツが楽しめる」などが上位を占めた。
これについて同研究所は「伊良部島のイメージというより沖縄全体のイメージ。伊良部島に対して明確な強い個性を持ったイメージを感じていないことが分かる」と指摘。その上で「新しいイメージをこれから与えることができる可能性があると捉えた方が良い」と前向きに分析した。
アンケートの調査結果は、18日に行われた伊良部地区観光地整備総合計画策定委員会で同研究所が報告した。