しつけと体罰の違い指摘/児童虐待防止
島袋元児相所長が講演
児童虐待防止推進講演会(主催・宮古島市)が28日、市働く女性の家(ゆいみなぁ)で開かれた。県中央児童相談所の元所長で現在は沖縄女子短期大学の非常勤講師を務める島袋裕美氏が「子どもたちのSOS~あなたの声を救いの一歩に」をテーマに虐待が発生する要因やしつけと体罰の違いなどを語った。
児童虐待には①身体的虐待②性的虐待③ネグレクト(育児放棄、保護怠慢)④心理的虐待-の4種類があると説明する島袋氏は、虐待が発生する要因としては、親自身の問題、子供側の要因、生活ストレス、社会的孤立を挙げた。
児童虐待相談状況を種別で見ると、全国では身体的虐待の割合が最も多いのに対し、沖縄ではネグレクトが最多となっていることなどを紹介。虐待相談の経路で最も多いのは警察、次いで児童相談所、近隣や知人となっていて、日ごろ子供たちと実際に触れている保育所や幼稚園からの通告が少ない状況を指摘するとともに、保育所・幼稚園には早期発見に至る可能性があるとして、さらなる取り組みが行われることへ期待を示した。
体罰は大人の感情のはけ口であり痛みや恐怖で子供の言動をコントロールしようとするものとの考えを示す島袋氏。しつけは子供が何かできるようになるための手助けであるのに対し、体罰は子供に何かをさせるための暴力と強調し、体罰を行わないよう訴えた。
児童虐待に対する援助を行う人への助言としては「援助者が疲れ果てては援助ができなくなる」として、セルフケアの手段を持つ▽一人で抱え込まない▽自身の感情に気付く▽援助技術を向上させる-よう呼び掛けた。
会場には保育や教育、福祉の関係者や一般市民ら約40人が来場し、真剣な表情で島袋氏の話に聞き入っていた。