産科医開業費を助成へ/宮古島市
限度額1億円/条例案を議会に提出
宮古島市は県と連携して、市内に産婦人科医療施設を開設する際の費用の一部を助成する。出産施設の充実を図り、市民が安心して子供を産み育てられる環境を整備することが目的。助成限度額は1申請者につき1億円。8日に開会した市議会(棚原芳樹議長)12月定例会に条例案を提出した。原案通り可決されれば、来年2月から申請の受け付けを開始する予定だ。
県は、宮古地区を含む離島や沖縄本島北部などの医師不足を解消するための基金20億円を創設した。
この基金を基に、市は産科医を開業したい医師に対し、開設に要する経費の一部(県8割、市2割)を助成する。
今議会に提出された条例案には、該当者として①市内の分べんを取り扱う病院に1年以上勤務し、産科の臨床経験のある医師②市内において分べんを取り扱う産婦人科医療施設を開設し、継続して10年以上、産科医療を実施する見込みがある人-。
一般的に産科医は、昼夜問わずの対応や訴訟を起こされるリスクが高く、若い医師らには敬遠されがち。
加えて離島地域では、先進的な医療を学べる機会や指導員の数が少ないことなどもあり、慢性的な医師不足となっているのが現状だ。
市健康増進課によると、現在、宮古島市には宮古病院と民間1件が開設されており、産科医師は計4人。出生数は年間ほぼ600人で、産科医1人当たりの出生件数は155人と、県全体の112人、全国の95人に対し高くなっている。
同課では、産科医師が独立して開業しようとしても、資金調達が難しい場合があることを指摘。「市と県が連携して助成することで、開業する際の負担を減らし、安定的な医師の確保と定着に結び付けられる」と同条例の意義を強調している。